仏陀寺の阿弥陀如来像
説法印、美しい阿弥陀さま
住所
京都市上京区寺町通今出川上る鶴山町12
訪問日
2018年12月15日
拝観までの道
仏陀寺(佛陀寺、ぶっだじ)は京阪電鉄の終点、出町柳駅から鴨川を渡り、北西に徒歩約10分。
拝観は事前連絡必要。
拝観料
拝観料の設定等はなかった。
お寺や仏像のいわれなど
仏陀寺は大蔵院と号し、10世紀半ば、朱雀、村上天皇ゆかりの寺院として上皇の御所内につくられたのがはじまりと伝える。応仁の乱後中興。以来浄土宗となる。
伝承では、中興の祖・邦諌上人は捨て子で、仏陀寺の本尊によって命助かり、のち出家して当時の浄土門を代表する僧となったという。
仏陀寺は、その後も被災と移転を繰り返した。狩野永徳作の洛中洛外図屏風の向かって左隅に描かれている「ぶつだいじ」が仏陀寺のこととされ、この時は一条烏丸にあった。さらに移転して、今の地に来たのは秀吉の時代という。
本尊の阿弥陀如来坐像は、説法印(胸前で両手を構える)を結んでおり、比較的珍しい。平安末期から鎌倉時代初期頃の作で、本堂の中央に安置されている。
拝観の環境
堂内でよく拝観させていただけた。
仏像の印象
像高は約85センチ。ヒノキの割矧ぎ造。彫眼。たいへん美しい仏さまである。
螺髪の粒は小さく、よく整う。肉髻は自然な盛り上がり。髪際はまっすぐに、額と顎、ほおはよいバランスで、顔つきは円満である。まゆはあまり上げず、まぶたのふくらみは自然で、やや見開きつつも、伏し目がちである。
座る姿勢が美しい。上半身は堂々としている。手を胸前でゆったりと構え、衣のひだはしっかり刻まれるが煩雑ではなく、美しく流れる。
光背、台座、漆箔は後補だが、ほかには指先などに後補部分があるものの、全体に保存状態はたいへんよい。
その他
このほか仏陀寺には本尊と近い時代の作と思われる地蔵菩薩像が伝来する。
門の左側にある地蔵堂に安置され、ガラス越しにいつでも拝観できる。
像高はおよそ85センチの坐像で、ヒノキの寄木造。
本尊同様にゆったりと座った姿である。あごをしっかりと引き締め、やや厳しい表情のようにも見える。
左手には宝珠を持ち、右手は何も持たずにてのひらを上に向けて腿の上に置く。腹で結んだ裙の紐を大きく出している。
さらに知りたい時は…
「調査報告 京都市・佛陀寺諸尊について」(『仏教大学大学院研究紀要』18)、青木淳、1990年