二尊院の釈迦如来像、阿弥陀如来像
送り出すお釈迦さまと浄土に迎える阿弥陀さま
住所
京都市右京区嵯峨二尊院門前長神町27
訪問日
2019年6月2日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
二尊院はJR山陰線の嵯峨嵐山駅から西北西、または京福嵐山本線の終点嵐山駅から北西にそれぞれおよそ徒歩20分。
清凉寺の西、500メートルほどの場所にあり、最寄りのバス停は「嵯峨釈迦堂前」となる。
近くには落柿舎、常寂光寺、滝口寺、祇王寺などもあり、嵯峨観光の中心部。観光の人力車がひっきりなしに通う。
総門をくぐり、拝観入口より入る。紅葉のトンネルをくぐった先、一段高いところに本堂がある。
拝観料
500円
お寺や仏像のいわれなど
釈迦、阿弥陀の二尊を本尊としてまつることから二尊院の名がある。
創建は平安前期と伝え、法然上人の高弟によって再興されたという。本尊の二尊も、娑婆世界から送り出す釈迦、極楽に迎える阿弥陀という組み合わせであり、唐の善導大師が広め、法然上人が広く説いた教えにもとづく。
その後、応仁の乱で荒廃したが、16世紀に長門阿弥陀寺の僧恵教によってよみがえった。かつては天台、真言、浄土、律の兼学であったというが、近代以後は天台宗として今に至っている。
拝観の環境
本尊の釈迦如来像、阿弥陀如来像は本堂の須弥壇上にあり、拝観の位置からは遠い。一眼鏡のようなものが必要。
仏像の印象
像高は左右の仏像とも約80センチの立像で。ヒノキの寄木造で彫眼。
互いに良く似る像で、ともに眼を伏し目がちとし、穏やかだが理知的な表情を浮かべている。胸や腹の膨らみはあまり強調せず、衣文線は賑やかだが、とても美しく整う。
向かって右が釈迦如来像で、施無畏与願の印を結ぶ。髪際が中央でカーブし、衣は下半身で勢いよく下へと流れる。一方、向かって左の阿弥陀如来像は、逆手来迎の印とする。衣はU字形を強調することで、釈迦像との違いを出している。
制作年代は鎌倉時代の中期ごろと思われる。このお寺を鎌倉期に再興した法然の弟子湛空は12世紀後半に生まれ、13世紀なかごろ、つまり鎌倉時代の中期に亡くなっているので、その後半生のころ、あるいはその少しあとくらいの年代の作と考えることができそうである。
さらに知りたい時は…
『最澄と天台の国宝』(展覧会図録)、東京国立博物館ほか、2005年
『日本古寺美術全集9 神護寺と洛西・洛北の古寺』、集英社、1981年