顕正寺の阿弥陀如来像

像内も美しく荘厳されている

住所
四日市市西日野町2970


訪問日 
2024年6月8日


この仏像の姿は(外部リンク)
四日市市・文化財



拝観までの道
顕正寺(けんしょうじ)は四日市あすなろう鉄道八王子線で西日野下車、徒歩約7分。
拝観は事前連絡必要。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
現在の宗派は浄土真宗だが、かつては臨済宗であったとのこと。顕正寺はは臨済宗の時からの寺名だそうで、本堂には「破邪顕正」の額がかかっている。
創建は14世紀前半だが、この寺には平安時代の仏像や奈良時代までさかのぼる塑像の仏頭が伝来している。これらが顕正寺に伝えられることになった経緯はもはやわからないが、このあたりはかつて東海道と伊勢街道の分岐点でもあり、伊勢国北部の文化の中心だったことが背景にあるのだろう。


拝観の環境
 阿弥陀如来像と3つの仏像頭部は本堂の外陣、ケース中に安置されている。堂内でよく拝観させていただけた。


阿弥陀如来像の印象
像高50センチあまりの坐像。定印を結び、右足を上に組む。
ヒノキの割矧ぎ造、彫眼。像内は、頭部は金箔で、体は銀箔で荘厳されており、きわめて入念な作とわかる。定朝様の優美な仏像で、平安時代の後・末期の作と考えられる。
肉髻は美しい形状をあらわし、螺髪は小粒でよく整う。眉はゆったりと弧を描くが、鼻からの立ち上がりは強く、目鼻が中央に集まり、正面から見ると若干クセのある表情にも見える。口もとは引き締める。
ややなで肩。姿勢はよく、頭体のバランスがよい。衣は薄手に表現され、ひだも深くないが、しっかりと刻まれる。ひだの線が枝分かれし、脚部はしっかりと衣にくるまれる。


仏像頭部について
阿弥陀如来像に向かって左側に菩薩像頭部と塑像仏頭、右側に天部像頭部がやはりケースに入って置かれている。
菩薩像頭部は平安時代後期ごろの穏やかな作風の像で、高さは20センチ余り。
塑像仏頭は奈良時代後期ごろの作で、10センチ余りの大きさ。ちょこんとのっかるようについた肉髻がかわいらしい。
天部像頭部はこのお寺に伝わる3つの仏像頭部の中で最も大きく、迫力がある。髪を逆立て、目は大きく見開いて目尻をつり上げる。あごは大きく、口から舌を出しているようにも見える。


さらに知りたい時は…
 『四日市の文化財 ふるさと文化の源流』(展覧会図録)、四日市市立博物館、2003年
『四日市市史』4(史料編 文化財)、四日市市、1989年


仏像探訪記/三重県