弥勒寺の諸像
本堂でお会いできる平安古仏
住所
名張市西田原2888
訪問日
2017年5月27日
この仏像の姿は(外部リンク)
拝観までの道
近鉄大阪線の名張駅下車。駅西口から桔梗が丘駅(名張の東隣りの駅)を経由して伊賀上野駅まで行く三重交通バスに乗車し、「田原」下車。
バス停からすぐの郵便局の脇の道を西へと進んで行くと、数分で前方にお寺が見えてくる。
バスの乗車時間は約15分。下車後徒歩約8分。
拝観は事前連絡が望ましい。
拝観料
500円
お寺や仏像のいわれなど
真言宗寺院。
奈良時代創建というが、寺の歴史は残念ながらよくわからない。
周辺地より古瓦が出土しており、かつては大きな伽藍をもつお寺であったようだ。
拝観の環境
本尊は薬師如来像、向かって右側に弥勒如来坐像、向かって左に役行者像。そして、弥勒如来像の手前に聖観音像、役行者像の手前に十一面観音像、さらにその手前に二天像が安置される。
すぐ前よりよく拝観させていただくことができた。
仏像の印象1(薬師如来像、弥勒如来像)
本尊の薬師如来像は像高約140センチの坐像。半丈六の堂々とした仏像である。
割矧ぎ造。平安時代後~末期の作と思われる。
写真で見ると顔が大きく、体は抑揚がなく、手もすらりとは伸びなくて、縮こまりぎみの像であるように見える。しかし、実際に拝すると気宇壮大な風がある。
肉髻は高く盛り上がる。螺髪は小粒で、正面の生え際が若干カーブしている。
目やまぶた、ほおに豊かな表情があり、横からの印象はなかなか厳しい顔立ちにも見え、また奈良の古仏のような風格も感じられる。
弥勒如来像は本尊より若干小さめで、約130センチの坐像。割矧ぎ造。こちらの方が本来の本尊であったという。
薬師如来像とそう違わないころの作であろうが、印象はかなり異なる。頭部は小さめで、上半身は広い。顔立ちはどことなくあか抜けない感じで、左右のバランスや手の様子など、地方作の仏像の深い味わいがある。
仏像の印象2(十一面観音像、聖観音像)
十一面観音像は像高約170センチとほぼ等身大の立像。一木造。平安後期ごろの作。
穏やかでやさしい雰囲気とどっしりと安定感ある様子がともに見える。
聖観音像も像高約170センチの立像。一木造。平安後期ごろの作。
ほぼ直立し、顔を小さく、下半身はすらりと長い。まげは低く、素朴な天冠台。額と顎をともに狭くし、鼻を短くして、ややしもぶくれであう。独特の表情が印象深い。衣のひだは浅く刻んでいる。
さらに知りたい時は…
『三重県史 別編 美術工芸 解説編』、三重県、2014年