東高尾観音寺の千手観音像

エキゾチックな顔つきが魅力的

住所

北栄町東高尾560

 

 

訪問日

2009年8月2日

 

 

 

拝観までの道

東高尾観音寺へは倉吉駅から日ノ丸バス西高尾線で約40分、「東高尾入口」で下車し、南西へ徒歩約20分。ただしバスの本数は少ない。

 

 → 日ノ丸バス

 

ほかに由良駅から北栄町乗りあいタクシー(事前予約制)がある。

拝観は事前予約が必要。

 

倉吉市桜の大日寺とは、地図で見ると山ひとつ隔てた隣の谷にあり近い。両方ともバス便が少ないので、筆者は、両寺の間は歩く(45分程度)ことにして、半日かけてまわった。

 

 

拝観料

500円

 

 

お寺のいわれ

東高尾観音寺は古代草創と伝えるが不詳。桜の大日寺が戦国時代に焼き討ちされたために仏像が移されて来たと伝える。現在の本堂は江戸末期のもの。

仏像は収蔵庫に安置されている。

 

 

拝観の環境

収蔵庫の中は明るく、またすぐ近くに寄って拝観できる。ただし、ところ狭しと破損像が並べられていて、服が触れたりしないよう神経を使う。

 

 

仏像の印象

収蔵庫の数十体の仏像のうち、千手観音像と十一面観音像の2躯が比較的原形をとどめ、重要文化財に指定されている。

 

千手観音像は、像高190センチ弱の立像。一木造で内ぐりも施されていない。千手とはいうものの脇手はすべて失われ、合掌する前の手の肘の先までが残されているだけという姿である。足先や頭上面も失われている。3つにたばねられたかわいらしいまげをつけていて、頂上の仏面はもともとなかったようだ。千手観音像と伝えるが、本当の像名は不詳というべきか(井上正は珍しい8臂の十一面観音像ではないかと述べている)。

 

顔つきがどことなくエキゾチックである。面長で、眉が思い切ってあがり、口元もしっかり引き締まっている。天冠台の下にのぞく髪のまとまりや耳の後に短く束ねて下がる髪、胸や腰のふくらみやくびれ、左右対称をくずし風になびく様子を表現した裙の折り返しの襞(ひだ)など、ため息がでるほど魅力ある像と思う。三道(首の三本のくびれ)は極めて深い。

下肢は細く、衣は足にぴったりとつき、かつ強くひだを刻む。石彫、あるいはブロンズ像、もしくは木心乾漆像に近い表現というべきか、いずれにしても天平彫刻の息吹を感じる。

 

 

その他

千手観音像の向って右側に立つ十一面観音立像は像高約160センチ。穏やかな表情、整った姿の平安仏である。

 

 

さらに知りたい時は…

『三蔵法師が伝えたもの』(展覧会図録)、鳥取県立博物館、2022年

『続 古佛』、井上正、法蔵館、2012年

『鳥取県の仏像調査報告書』、鳥取県立博物館、2004年

「東高尾観音寺古仏群についての一考察」(『鳥取県立博物館研究報告』20)、小山勝之進、1983年

 

 

仏像探訪記/鳥取県

千手観音像
千手観音像