方広寺の釈迦三尊像

南北朝時代の基準作例

住所
浜松市北区引佐町奥山1577-1


訪問日 
2023年7月26日


この仏像の姿は(外部リンク)
方広寺・国重要文化財釈迦三尊像



拝観までの道
方広寺へは、浜松駅北口バスターミナル15番乗り場から「奥山」行の遠鉄バスに乗車し、終点下車。約75分の乗車。このバスは天竜浜名湖鉄道線の金指駅の北口を通るので、ここから乗車すれば、「奥山」まで約25分である。
下車後、さらに先に150メートルほど進むと小公園があり、方広寺への案内板も出ているので、そこを右折。短い参道の先に山門があり、そこから境内となるが、細い上り坂をさらに行く。バス停から本堂まで15分くらいかかる。


拝観料

500円。

なお、拝観入口で昼食の申し込みができる。精進うな重など、数種類のメニューがあり、別棟の食堂でいただくことができる。


お寺や仏像のいわれなど
臨済宗寺院で、後醍醐天皇の皇子によって南北朝時代に開かれたという。
本尊の釈迦三尊像も南北朝時代の作だが、もと茨城県城里町の清音寺にあり、1903年に移されてきた。清音寺はかつて常陸を治めていた佐竹氏の菩提寺で、江戸時代に徳川光圀が修復したことが像の背中に刻まれているそうだ。


拝観の環境
拝観入口からすぐのところに一山の宝物を集めた展示室があり、木喰仏などが置かれている。

その先が本堂。とても大きな空間で、規模は東海地方最大という。1918年の再建だそうだ。釈迦三尊像はその中央の内陣に安置されている。
拝観の位置からはやや距離があるが、ライトがよくあたっている。ただし、ライトは斜め下から当てられているので、台座の影になって体部はよくわからない。


仏像の印象
像高は中尊が100センチ余り、脇侍は55センチあまり。寄木造で、金泥塗り。

中尊は定印を結ぶ。髪を結い上げ、宝冠を着けた姿である。文殊菩薩像は剣を持ち、獅子に乗る。普賢菩薩像は如意をとり、象に乗る。三尊とも冠の下には豊かに髪束が見え、額を広めにし、鼻筋をが通った整った顔立ちをしている。
ライトで中尊の顔つきはくっきりと見え、玉眼や眉が強調されて、非常に威厳ある表情に感じる。文殊菩薩像は整った雰囲気、一方、普賢菩薩の表情はややなまめいて見えるのは、ほかの像に比べてちょっとだけだが、あごが細くなっていたり、唇が強調されていたりするように感じられるためかもしれない。
光背は、中尊は周縁部は後補だが、脇侍像の光背は当初のもので、透かし彫りがとても美しい。また、宝冠その他の装身具も当初のものである。

造像時の銘文が像底にあり、南北朝時代の1352年の年と、中尊は仏師名として法印院吉、法眼院広、法橋院遵、向かって右の文殊菩薩像は院広、左の普賢菩薩には院遵の名が書かれている。


さらに知りたい時は…
「国宝クラス仏をさがせ! 方広寺釈迦三尊像」(『芸術新潮』855)、瀬谷貴之、2021年3月
『みほとけのキセキ』(展覧会図録)、浜松市美術館、2021年
「新指定の文化財」(『月刊文化財』609)、文化庁文化財部、2014年6月


仏像探訪記/静岡県