横山大観記念館の不動明王像

横山大観愛蔵の仏像

住所
台東区池之端1-4-24


訪問日 
2023年2月17日


この仏像の姿は(外部リンク)
文化遺産オンライン


館までの道
上野公園の不忍池の西側にある。最寄り駅は東京メトロ千代田線の湯島駅。
毎週月、火、水曜日と展示替え期間は休み。


入館料
800円


館や仏像のいわれなど
横山大観が場所を選び、建築・作庭も指示し、そこで創作活動を行った旧宅で、現在は記念館となっており、建物や庭園が見学できる。
最初の邸宅は1945年の東京大空襲で焼け、現在の建物、庭園は、大観自身により1954年に再建した2代目だそうだ。
1958年に大観が亡くなると、夫人がそのあとを守ってきたが、その夫人亡きあと法人化し、1986年より公開がはじまったという。2017年には、国史跡、名称として指定された。

展示は館が所蔵する大観作品(本物や複製)と関連する資料類だが、その中に平安時代の不動明王像がある。1937年に大塚巧藝社の社長大塚稔から譲られたものという。


拝観の環境
大観の作品は四季ごとに展示替えをされるが、仏像は客間(鉦鼓洞)に常設展示されている。
ガラス越しだが、近くからよく見ることができる。


仏像の印象
不動明王像は像高93センチの立像。ヒノキの一木造で、おだやかな平安後期の風がある。
片目をすがめ、牙を互い違いに出し、醜悪な表情を出しているが、貴族好みの気品ある像に仕上がっている。
胸も厚くせず、腹もあまり出さず、胴もそれほどくびれず、誇張を避けた穏やかな風である。衣の襞も控えめ。腰布を着け、裙は短めにして足首を見せる。立ち姿も静かである。
腕は剣をもつ右手は肘を曲げ、策をとる左手は軽くまげているが、緊張感よりも自然なポーズに見える。ただし、腕は後補らしい。ほかに弁髪が下がっているところや足首、持物や台座も後補で、修復作業にあたったのは、近代彫刻界の雄、平櫛田中という。


その他
1945年3月9日、大観の弟子の堅山南風がここを訪れた。大観は「自分はここで死ぬので、避難はしない」と言い張ったが、南風は強引に避難をすすめ、大観は世田谷の知人の家に移った。南風の予見のとおり、3月10日の東京大空襲で大観邸は灰燼に帰したが、不動明王像はそれ以前に避難させていて無事であり、大観は「これが残ればよい、家などまたつくれる」と言ったという。


さらに知りたい時は…
『大観邸 画業と暮らしと交流』、横山大観記念館、求龍堂、2019年


仏像探訪記/東京都