満願寺の十一面観音像

  長身でボリュームのある平安前期彫刻

住所

笛吹市一宮町竹原田1263

 

 

訪問日

2010年12月5日

 

 

この仏像の姿(外部リンク)

笛吹市・文化財ほか

 

 

 

拝観までの道

石和温泉駅の東側に広がる石和温泉は歴史こそ新しい(1961年に果樹園から突如わき出した)が、熱海に次ぐほどの規模で、東日本有数の温泉地である。

満願寺は、石和温泉郷の東のはずれで笛吹川にかかる橋(笛吹橋)から東南に徒歩約30分のところにある。

JRの石和温泉駅前にはタクシーが常駐している。

笛吹市にはレンタサイクルもある。「遊湯レンタサイクル」と称し、放置自転車の有効活用として運用され、無料だが、保証料として1,000円必要(返却時に戻る)。

 

遊湯Yu-Yuレンタサイクル

 

満願寺の拝観は事前に管理の方に予約をする必要がある。

 

 

拝観料

特に拝観料の設定はなかった。

 

 

お寺や仏像のいわれ

満願寺は曹洞宗寺院。一堂のみの小規模な寺院。数件の檀家さんで管理をしている。

本尊の十一面観音像は行基作という伝承をもつが、伝来等不詳である。

 

 

拝観の環境

間近でよく拝観できる。

 

 

仏像の印象

像高は約170センチの立像。一木造で、平安前期にさかのぼる要素を備えた堂々たる像である。材はケヤキという。

顔は細面で、どことなく大陸的というか、茫洋な印象。まげはやや低いが、大きく結う。首は太く、短い。裙は大きく折り返し、縦に賑やかに襞を刻む。裙のうちあわせでは、上下に2つの渦文をあらわす。体躯にはボリューム感があり、腹や腰は太い。全体に長身で、頭は小さく、下半身は長く、また右手も長い。

頭上面はすべて失われる。後世に玉眼を入れている。また、表面の漆箔も後補。光背支柱に17世紀後半の修理銘があるそうだが、後補はその時のものかと思われる。

 

 

その他

満願寺から2キロほど西に安楽寺というお寺がある。本尊の観音菩薩立像(像高約150センチ)は、やはり平安前期〜中期にさかのぼる一木造の仏像であるが、こちらは山梨県立博物館に寄託されている(残念ながら、通常は展示されていない)。

このあたり、笛吹川の南岸は甲斐国の中でも早くから開けた地であり、国衙も近くに置かれていた。こうした環境から、満願寺、安楽寺の像のような古仏が伝わったものと思われる。

 

 

さらに知りたい時は…

『祈りのかたち』(展覧会図録)、山梨県立博物館、2006年

『山梨県史 文化財編』、山梨県、1999年 

 

 

仏像探訪記/山梨県