明王寺の薬師如来像

小像ながら、雄大さが感じられる

住所
富士川町舂米(つきよね)2番地


訪問日 
2023年10月5日

 


この仏像の姿は(外部リンク)
明王寺ホームページ



拝観までの道
甲府駅前のバスターミナルから山梨交通バス鰍沢営業所行き、またはフォレストモール富士川行きに乗車し、「長沢新町」下車。乗車時間はおよそ45分で、下車後西へ徒歩20分。ただし本数は日中1時間に1本程度で、土日はさらに少なくなる。
そのほかの行き方としては、身延行きの高速バスの「青柳」からも歩ける距離。
拝観は事前連絡必要。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
真言宗寺院で、本尊は秘仏の不動明王像。寺伝によると、奈良時代末期の創建という。
このお寺には平安時代前期の作の薬師如来像が伝来する。近世の史料によるとこのお寺にはかつて薬師堂があったことが書かれているので、そのお堂の本尊であったとも考えられる。現在は境内の収蔵庫に安置される。


拝観の環境
像は2重の厨子中に安置されている。
すぐ近くよりよく拝観させていただける。


仏像の印象
薬師如来像は像高40センチあまりの立像。一木造で両手の上腕まで共木で彫り出す。内ぐりもない古様なつくり。樹種はヒノキという。
頭部は大きめで、目鼻立ちも大きい。肉髻はあまり高くしない。顔立ちは穏やかですずやかである。鼻はよく通り、ほおもふっくらとしている。
肩から胸にかけては豊かに、がっしりした体躯とし、左右の腕も存在感がある。上半身の衣はシンプルな中にもラインに華やかさがあり、下半身は太ももの量感を強調する。
首をわずかにかしげた表現、胸も左右対称が崩れ、下半身もわずかにゆらぎを見せている。全体に動きをはらんでいる。これは材のくせのためかもしれないが、見飽きない。


その他
収蔵庫中にはほかにも寺宝が安置されており、中でも1477年の銘のある不動明王像版木はとても力強く姿を刻んで魅力的である。


さらに知りたい時は…
『祈りのかたち 甲斐の信仰』(展覧会図録)、山梨県立博物館、2006年
『山梨県史 文化財編』、 山梨県、1999年
「増穂町明王寺薬師如来立像について」(『帝京大学山梨文化財研究所研究報告』3)、鈴木麻里子、1990年


仏像探訪記/山梨県