華蔵寺美術館の大日如来像

新田氏ゆかりの仏像と伝える

住所
深谷市横瀬1360


訪問日 
2022年5月15日


この仏像の姿は(外部リンク)
華蔵寺・文化財のご案内・仏像



拝観までの道
華蔵寺(けぞうじ)は深谷市の北西部にあり、本庄市や群馬県伊勢崎市との境に近い。高崎線の岡部駅が最寄り駅で、北に約4キロ。駅にはタクシーがほぼ常駐し、1500円くらい。
お寺の北側、徒歩15分くらいのところに最寄りのバス停がある。境島村シャトルバスという伊勢崎市のコミュニティバスで、東武伊勢崎線の境町南口から来ることができるが、本数は多くない。

その他の行き方としては、岡部駅の両隣である深谷駅、本庄駅の近くにレンタサイクルがある。

大日堂の本尊の大日如来像は、現在は境内につくられた美術館内に安置されている。美術館は9時~16時で、特に予約は必要ないということだが、念のため問い合わせて出かけるのがよいかもしれない。


拝観料
美術館入館料300円


お寺や仏像のいわれなど
華蔵寺は1194年に新田義兼が建立したと伝え、大日如来像は義兼の守本尊という伝承があるそうだ。義兼は鎌倉幕府御家人で、源義家から新田義貞への系譜の途中に位置する人である。
平安末期の穏やかさを基本としつつも、どしりとした体躯をもち、微妙な凹凸で顔に豊かな表情をつくりだしているところなどを見ると、新田義兼の守本尊であったと伝えられる年代に符合するころの像とも思える。


拝観の環境
大日如来像は美術館を入って右手に安置されている。
ケースなしの展示で、照明もあり、近くから、また横からもよく拝観できる。


仏像の印象
手を腹の前で組む、胎蔵界の大日如来像である。
像高90センチ余りの坐像で、寄木造、材はヒノキという。中心部分は左右2材でつくられ、割首をしているとのこと。表面は金に輝いているが、これは江戸時代中期の修理の時のもの。装身具や台座、光背も江戸時代のものである。それ以前にも、戦国時代に修理されているらしい。

まげは低くあらわす。脚部の高さも低く、衣の流れは浅く、流麗にあらわしていて、定朝の様式をよく伝えるものと思う。姿勢がよく、肩から組んだ手先にかけての腕のつくりは自然である。体は厚みがあり、胴はしっかりとしぼる。
鼻筋がよく通っている。口もとが引き締まり、やや硬い表情に見えるが、これは後世の表面の塗りや冠につけられた大仰な飾りのためにそうした印象がつよまっているのかもしれない。


さらに知りたい時は…
『埼玉県古代仏教遺品調査報告書』、埼玉県県民部県史編さん室、1984年


仏像探訪記/埼玉県