林泉寺の伝正観音像

毎年4月18日に近い日曜日に開扉

住所
越谷市増林3818


訪問日 
2022年4月17日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)
こしがやWEB・イベント


拝観までの道
東武線の新越谷駅またはJR武蔵野線の南越谷駅(この両駅は隣接)で下車、駅前ロータリーのバス乗り場「南越谷駅南口」からタローズバスに乗車。ここの乗り場からは3つの行き先へのバスが出ており、松伏ターミナル行きに乗車できれば、お寺に一番近いバス停(「上二区」)まで乗ることができるが、本数は少ない。別の行き先のバスに乗車した場合は、「増林小学校入口」で下車、徒歩10分くらい。
伝正観音像は山門を入って右側の観音堂に脇仏として安置されている。
観音堂は毎年1日、4月18日に近い日曜日に開扉される。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
林泉寺は室町時代に開かれた浄土宗寺院。
観音堂に安置されている伝正観音像は像内銘があり、新福寺というお寺のために造られた像であるという。しかし残念ながらこの寺院については不詳。もともと安置されていたお寺が廃絶し、流転を経てこの林泉寺でまつられることになったのであろう。
銘文にはそのほか、制作年やかかわった人物の名前が書かれるが、尊名については記されていない。林泉寺では正観音像としてまつっているが、如来像の衣を着けており、中世に多くつくられたいわゆる宝冠釈迦像の可能性を考慮して、文化財としての指定名称としては伝正観音像となっている。


拝観の環境
堂内でよく拝観させていただけた。


仏像の印象
像高84センチの坐像で、寄木造、彫眼。
顔立ち、衣の様子からエキゾチックな雰囲気が感じられる魅力的な像である。
やや面長で、つり上がりぎみの目、長く弧を描く眉、よく通る鼻筋、引き締めた口もと。それらによってつくられる顔つきは整っているのだが、華やかでミステリアスな印象がある。
大きな冠をつけ、その後ろに高く結ったまげがある。
左手を下にして蓮華の茎を取り、右手はつぼんだ蓮の花に近づける。ただし手は後補のようである。
上半身は、体躯の厚みは感じさせないものの、ゆったりと大きくつくる。首の下までは肌を出すが、あとは衣に覆われる。
まげを結い装身具をつけるので菩薩形なのだが、条帛でなく袈裟をつける。例がないわけではないが、珍しい。宋風ということか。
その袈裟の着け方も独特で、内側の衣は左右の高さが同じなので、おそらく通肩にまとっており、その上にゆったりともう1枚の衣をかけるが、背から左右の手にかかるだけで、体をぐるりと巻いてはいない。
とにかく個性的な像である。
脚部はしっかりとひだを刻むが、直線的で等間隔に近い線である。足先は衣の中にあって見えず、正面からはどちらの足を上にして組んでいるのかはわからない。


像内銘について
銘文には2つの年が書かれる。いずれも鎌倉時代後期の1304年と1320年で、前者が像の一応の完成、後者が彩色時と考えられている。また、檀越や勧進沙門の名前があるが、尊像名や仏師名は書かれない。ほかに、膝裏には戯画が描かれているそうだ。


さらに知りたい時は…
『埼玉の仏像巡礼』、青木忠雄、幹書房、2011年
『さいたまの名宝 国宝・重要文化財』、埼玉県立博物館編、平凡社、1991年
『越谷市仏像調査報告書』(『越谷市の文化財』第7集)、越谷市教育委員、1977年


仏像探訪記/埼玉県