清水寺奥院堂の十一面観音像

毎年8月9日に開帳

住所
いすみ市岬町鴨根1270


訪問日 
2023年8月9日


この仏像の姿は(外部リンク)
千葉県教育委員会・県指定有形文化財



拝観までの道
清水寺(きよみずでら、清水観音)はJR外房線の長者町駅下車、徒歩50~55分。
駅の北で線路を西側に横切り、県道154号線を西に1キロ半ほど行くと、清水寺への案内が出ているので、そこを左折。西南に2キロくらい進み、音羽の森公園の南側をまわる。そこまではほぼ平坦だが、お寺の入口の杖が置かれており、その先は急坂となる。
長者町駅にはタクシー乗り場があるが、台数が少ない。


拝観料
志納


お寺や仏像のいわれなど
坂東三十三観音の第32番札所。
麓からの坂を上りきると2つの門がある。仁王門、四天門で、仁王門は20世紀末の再建。四天門は江戸後期の1822年に建立され、風神、雷神をまつる。
門の先、正面が本堂で、その手前、右側が百体観音堂。ここには赤穂四十七士像があり、明治期の末ごろに当時の住職が義士の供養のためにつくらせたものなのだそうだ。
左側には奥院堂(奥ノ院)がたつ。奥院といいつつ、本堂の手前にあるのは面白い。本堂が1813年に焼けた後、本堂の仮堂としてつくられたお堂で、今は奥院堂として十一面観音像をまつっている。
本像は鎌倉時代中期ごろの作とされる四臂十一面観音立像で、秘仏。開帳は8月9日のみらしい。


拝観の環境
拝観は堂内、外陣から。あかりをつけてくださっているので、よく拝観できる。


仏像の印象
像高は約110センチ。カヤの寄木造。玉眼。額を大きく、あごを小さくつくっている。眉と目は近く、両目はやや内側に、目は細くややつり気味、鼻と口も接近する。ややくせのある目鼻立ちだが、なかなかに怜悧な表情が魅力的である。
なで肩で、旨はゆったりと広い。
4本の手は左の第1手は胸のあたりにあげているが、他は下げている。かつては左右とも第2手を肩のあたりに上げていたが、前膊は後補であり、かつ付け方も変えられていたために、1994年の修理の際に他の4臂十一面観音像を参考に現在の姿としたのだそうだ。この手の動きによって、落ち着いた雰囲気で、かつ優美な像となっている。
条帛は細め。腰は右側にすこしひねる。
裙の折返しと腰布が重なりあい、それぞれややしつこく襞を刻んで、にぎやかである。いくつも鋭角の折り返しがあり、直線、曲線が入り乱れる。

 

 

その他

境内に寺カフェ「千尋亭」がある。月、火曜日は休み(法務で臨時休業することもあり)。


さらに知りたい時は…
『南総天台の仏像・仏画Ⅱ』、天台宗南総教区研修所、2018年
『房総の神と仏』(展覧会図録)、千葉市美術館、1999年
『房総の仏像彫刻』、千葉県教育委員会、1993年


仏像探訪記/千葉県

奥院堂
奥院堂