西福寺の聖観音像

橘氏ゆかりの古寺に安置される客仏

住所
井手町大字井手小字柏原73番地


訪問日 
2023年5月20日


この仏像の姿は(外部リンク)
遍照山西福寺・仏像



拝観までの道
西福寺は井手町玉水にあり、JR奈良線玉水駅下車、駅の西南に徒歩5分。
お寺の入口は南側にある。
拝観は事前予約必要。


拝観料
500円


お寺や仏像のいわれなど
真言宗寺院。寺伝では草創は奈良時代以前にさかのぼり、奈良時代から平安時代前期にかけて活躍した橘氏の氏寺と伝える。江戸時代に京都の勧修寺に連なる寺院として再興され、神仏習合関係の貴重な史料も伝える。
近代の廃仏の時期を乗り切り、周囲で廃寺となった寺の仏像が多く集まっている。平安時代から江戸時代までの木彫像で、比較的小振りなものが多く、1998年に再建された本堂の脇仏として安置されている。


拝観の環境
近くよりよく拝観させていただける。


仏像の印象
脇陣の仏像のうちもっとも心惹かれる像は、向かって一番右側に安置されている(伝)聖観音像と思う。

像高約110センチ、一木造。優しい微笑みの表情が印象深い像である。平安中期頃の作で、井手町で最古の像である。
頭部を大きくつくり、螺髻に結った髪は大振りである。顔は面長とせず、あごは小さく、目鼻立ちは大きい。耳も大きくつくる。
立ち姿はゆったりと自然である。胴はしぼり、ほんの少し左右に揺らぎをもちながら立っているようだ。胸の厚みはそれほどではないが、腰のあたりは厚みがある。ひざのあたりを天衣が横切り、その下側では衣のひだが大波と小波を交互に刻んでいる。

向かって左側の脇陣に安置される仏像の中では、不動明王坐像が魅力的である。像高は20センチほどの小像である。頭部は大きく、生え際で髪をくるりとカーブさせているのが珍しい。右ひじの張りや組んだ足、それをくるむ衣の様子も面白い。


さらに知りたい時は…
『井手町の近代1と文化財 (井手町史シリーズ 5)』、井手町史編集委員会、1999年


仏像探訪記/京都府