薬薗寺の薬師如来像

毎月8日開催の写経会にて拝観可

薬薗寺の門、左側に「写経会」の案内が出ている
薬薗寺の門、左側に「写経会」の案内が出ている

住所
八幡市八幡森垣内2


訪問日
2023年6月8日 


この仏像の姿は(外部リンク)
八幡市の登録文化財



拝観までの道
薬薗寺(やくおんじ)は石清水八幡宮駅下車、東へ徒歩15分。

基本的には拝観謝絶であるが、毎月8日に行われている写経会に参加した人に限って本堂の拝観ができる。写経会は10~15時の間で受け付けられており、事前の予約などは必要ない。お写経は般若心経で、薄く印刷されているものをなぞって行う。筆ペンを貸していただける。般若心経は経典の中でも短く、よく唱えられる人気のお経であるが、写すとなると45分から1時間くらいはかかる。
お写経ののち、お茶、お菓子を出してくださって、その後に本堂の拝観をさせていただいた。

薬薗寺ホームページ


拝観料
写経の志納料として1,000円


お寺や仏像のいわれなど
浄土宗寺院。創建は奈良時代にさかのぼるとされ、中世には麹座の特権を保有して経営にあてていたという。石清水八幡宮とのつながりが強く、本尊の薬師如来像も八幡宮関連の像ともいい、また付近を流れる木津川(淀川)の渡しを見守るお堂にまつられていたものという伝えもあるらしい。

旧本堂の老朽化によって、今の本堂は2003年に建てられた。その間薬師如来像は京都国立博物館に預けられていたそうだ。
現本堂は小規模だが、心地よい堂内である。


拝観の環境
お写経ののち、本堂に案内いただける。堂内でよく拝観させていただけた。


仏像の印象
本尊の薬師如来像は像高約160センチの立像。ケヤキの一木造で、平安時代前期の作である。
薬師如来像として伝えられているが、天部像の姿をしている。「七仏薬師経」にみえる善名称吉祥王如来にあたるとする説もある。
着しているのは袈裟でも条帛でもなく、大きな袖のあるゆったりとした服を重ね着している。頭はまげを小さめに結い上げ、天冠台を着け、その下には髪をいくつかに束ねながら美しく整えている。
頭部は小さめで、美しく弧を描く眉、ふっくらとしたまぶた、小さめの口、全体に整った美しい顔立ちをしている。口もと、あごはしっかりと引き締まっている。
自然な立ち姿で、下肢に見えている裙のひだはしっかりと刻まれる。
正面からはやや細身に見えるが、斜めからはどっしりとした体躯である。

 

なお、平安後期〜鎌倉時代ごろの日光・月光菩薩像、十二神将像がともに安置されている。日光・月光菩薩像は板から彫り出された半肉彫りの像で、珍しい。


さらに知りたい時は…
『八幡文化のふるさと』、八幡市教育委員会、1991年


仏像探訪記/京都府