白沙村荘橋本関雪記念館持仏堂の地蔵菩薩像

8月16日など年に数回開扉

住所

京都市左京区浄土寺石橋町37

 

 

訪問日 

2019年8月16日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

文化遺産オンライン

 

 

 

拝観までの道

白沙村荘(はくさそんそう)はバス停「銀閣寺前」のすぐ前。京都駅や阪急河原町駅から直通バスがある。200メートル余り西側には「銀閣寺道」というバス停がある。こちらの方が多くのバス路線が通り、便利かもしれない。

 

持仏堂は年間数回、2月26日(橋本関雪の命日)、4月14日(関雪夫人の命日)、8月16日(五山送り火の日)などに開扉されるという。

開く時間等詳細はお問い合わせを。

 

白沙村荘 橋本関雪記念館

 

 

入館料

1,300円(当日は再入場可能)

 

 

白沙村荘の持仏堂について

白沙村荘は日本画家橋本関雪の旧邸宅で、アトリエ、茶室、庭園のすべてを自ら設計したものである。敷地の中には関雪の絵を中心としたミュージアムもつくられており、鑑賞できる。

 

関雪は20世紀前半に活躍し、中国の画題に通じた作品を多く手がけた。

彼は絵を描くこと、庭をつくること、この2つは自分にとって分つことができないものだ(「一如不二」)と述べている。この空間そのものが関雪の生涯の作品であり、関雪の死後75年にもわたって維持されているということがまたすばらしい。

 

関雪はまた、古美術の蒐集を趣味としていた。一流作家として認められる前の貧しい時期から美術商めぐりを欠かさなかったらしい。時には無理をして買い求めることもあったそうで、夫人に借用書を書いてまでお金を工面したなどのエピソードが残されている。ことに仏像は、日本にやってきた外国人に買われて海外に流出することを悲しんで、自ら求めたという動機もあったらしい。

 

庭園の中に建つ持仏堂も自身で設計し建てたお堂で、鎌倉時代の美しい地蔵菩薩像がまつられている。

 

 

拝観の環境

それほど大きくはない持仏堂だが、不似合いなほどの大きな厨子が納められている。地蔵菩薩像はその中に安置されている。お寺でのまつり方とは異なり、仏具などは置かれないために、逆に仏像の存在感がきわだつ空間となっている。

扉口からの拝観だが、像までの距離はそれぼどないため、よく拝観できる。

 

 

仏像の印象

地蔵菩薩像は像高約1メートルの立像。鎌倉時代の美しい地蔵菩薩像である。

頭部は小さめにして、とてもプロポーションがよい。

左手に宝珠を、右手には錫杖をとる通例の姿で、動きは少ない。

丸顔で、眉と目が接近し、ほおは丸まると豊かに張る。やさしい、柔らかな表情だと感じられるのは、目鼻口が上品につくられ、顔の中心に集まるようにしているからだろうか。

衣はあまりひだを刻まないが、彩色が美しく残る。袈裟の条相から左右対称を破るように動きが感じられるので、ほぼ直立の姿の中に生き生きとした様子が見てとれる。

胸元に下着を見せ、その下の袈裟の折り返し部分、そして袈裟の条相、袈裟の端に曲線が繰り返し使われ、心地よいリズムを生み出している。

 

 

さらに知りたい時は…

『橋本関雪』、西原大輔、ミネルヴァ書房、2007年

「仏像の蒐集に就て思ふこと」、橋本関雪(『古美術読本 仏像』、淡交社、1987年)

 

 

仏像探訪記/京都市