神泉苑の不動明王像
毎年2月3日に開扉
住所
京都市中京区御池通神泉苑町東入る門前町166
訪問日
2018年2月3日
拝観までの道
二条城の南にある。最寄り駅は地下鉄東西線の二条城前駅。敷地の北は押小路通、南は御池通で、どちらにも門があり入場できる。
二条城前駅以外では、二条駅、大宮駅(四条大宮駅)、烏丸御池駅からも徒歩圏内。
本堂は2月3日の節分会の際に開扉される。
拝観料
特に拝観料等の設定はなかった。
お寺や仏像のいわれなど
境内中央のほとんどを池が占めている。この池はもとはもっと広かったが、徳川家康の二条城造営の際にとられてしまったそうだ。
本来は平城京の大内裏に隣接する特別な苑池で、空海をはじめ密教層が雨乞いの祈祷を行い、また、逆に止雨の修法が行われたこともある。
江戸時代初期、荒廃していた神泉苑を復興したのは快我(快雅)という僧である。以後真言宗寺院となって、今に至っている。
境内の中央には善女龍王社があり、ゴイサギの姿もみられる。ゴイサギは神泉苑に行幸した醍醐天皇によって五位の位が与えられたためにこの名があるそうだ。
善女龍王社から西側へと池を跨ぐ橋(法成橋)を渡ると、本堂の正面に出る。
本堂には中央に観音像、向かって右に不動明王坐像、左に弘法大師像と復興に尽力した快我上人像がまつられている。
拝観の環境
普段は開扉しないが、2月3日は節分会としてお堂が開かれ、11時と15時に不動明王像の前で護摩供が行われる。
私は15時の護摩炊きの時間にうかがった。堂内に並べられた椅子に座らせていただき、不動明王像を拝観させていただいた。
護摩炊きが終わってしばらくたつと、像の前には御簾が下げられてしまうので、拝観は護摩炊きの間とその前後に限られるというのようだ。
護摩壇より後ろからの拝観となるので、やや距離がある。一眼鏡のようなものがあるとよい。
仏像の印象
像高は約90センチ。ヒノキの一木造。平安時代中ごろの作である。脚部は下から10センチくらいくりを入れているが、体幹部には内ぐりはないそうだ。
全体に迫力があり、同時に誇張に走らない上品さを兼ね備えた、すばらしい不動明王像である。
頭部は大きめで四角張る。脚部の張りを大きくとっているので、安定感がある。
頭頂には蓮をあらわし、巻き毛とせず、幅広の天冠台をつける。こめかみの上、天冠台の上に髪を逆立ているのは炎髪であるが、控えめな表現。眉を大きくあげて、忿怒の相を強くあらわす。上の歯で下唇をかんでいる。
垂らした弁髪は耳の後ろを通していて、比較的珍しい。
腕はすらりと伸びず、それがかえって内なる力を感じさせる。
条帛や脚部の衣のひだは浅めで並行な線であるが、しっかりと強さを感じさせる刻み方である。
さらに知りたい時は…
『月刊文化財』477、2003年6月