地福寺の阿弥陀如来像

  独特の雰囲気を持つ仏像

住所

京都市西京区大枝中山町1-14

 

 

訪問日 

2015年3月14日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

京都市役所・京都情報館

 

 

 

拝観までの道

地福寺(じふくじ)は京都市西部、西京区大枝(おおえ)中山町にある。

近くを山陰道が通り、さらに西に進むと大枝山、「老いの坂」を経て亀岡市に至る。大枝山は酒呑童子の伝説の大江山のことかとされ、古代より京都の西の境であった。

現在も大枝山に至る道は険しいが、その手前は桂坂ニュータウンとして開発されている。

 

京都駅前より、このニュータウンの中心的なバス停である「桂坂中央」行きの京阪京都バス(阪急の桂駅東口を経由する)に乗車し、およそ30分。「中山」というバス停で下車、バス進行方向すぐ右側の細い道を北へと進むと、まもなく地福寺のかわいらしい門に出る。バスの本数は日中、1時間に2本程度。

「中山」バス停から5分くらい南には「国道中山」という別のバス停がある。こちらは京阪京都バスと市バスの両方が通っているので、比較的便数が多い。

 

拝観は事前連絡必要。

 

 

拝観料

拝観料の設定は特になかった。

 

 

お寺や仏像のいわれなど

地福寺は平安末期に草創され、江戸時代後期に再興されたという。浄土宗寺院である。

本尊の阿弥陀如来像は、近くの山の上にあったというお堂より移されたと伝え、行基作というが、実際には平安前期の作と思われる。

腹前で両手を組み合わせた定印の阿弥陀如来の古像として貴重な作例である。

 

 

拝観の環境

本堂壇上に安置され、すぐそばから拝観させていただくことができた。

 

 

仏像の印象

像高は約85センチ。非常に独特の風貌である。

まず、顔つきが独特である。眉、目、鼻、鼻の下、口もとから顎にかけてのライン、それぞれに存在感がある。さらに耳も大きく力強い。螺髪はもこもこした感じを出さず、薄く削ってしまったようで特徴的だが、これはもともとこうなのか、あるいはのちに手が加わったものか。

全体に顔つきはいかめしく、しかし光線や角度によってはやさしく笑いを含んでいるようにも見えるのもたいへん面白い。

 

胸は厚く、衣を通肩に、腕や脚部はこれをしっかりと巻き付けるように着ていて、緊張感をはらむ。

やや反り返り気味であるのは、地付きの部分がいたんでやむなくそうなったのか、もともとそのような姿勢でつくられたものなのだろうか。

全般的に他のどの仏像とも似ない独特の雰囲気があり、興味が尽きない。

 

ヒノキあるいはカヤの一木造で、背中からクリがあるが、深くは彫っていないそうだ。

 

 

さらに知りたい時は…

『現代仏師と読み解く 聖なる異形の仏像』、綜合図書、2015年

「洛西の仏像」1(『近畿文化』784)、関根俊一、2015年3月

『古仏』、井上正、法蔵館、1986年

『京都の美術工芸 京都市内編』上、京都府文化財保護基金、1985年

 

 

仏像探訪記/京都市