2005年に開館したミュージアムより

かちどき 橋の資料館
かちどき 橋の資料館

 

1 箱根ラリック美術館(3月開館)

 

 アールヌーヴォーとアールデコの両方の時代にわたって活躍した宝飾・ガラス作家、ルネ・ラリック(1860−1945)の作品を集めている。それほど大きなスペースの美術館ではないが、空間の構成と動線のとり方がよく、コーナーでも狭苦しい感じがない。気持ちよく回ることができる美術館である。美術館めぐりが好きという方は(たとえラリックの作品にはそれほど興味ないという方でも)ぜひ来館されたい。

 両大戦間に大きな流行をみたアールデコでは、建築と装飾、工芸などが別々ではなく結びついた形で作品化されていった。その代表的なものが、豪華列車、豪華客船、建築のデザインである。この美術館では当時の室内装飾として作られた大型の作品も展示されている。特筆すべきはオリエント急行客車の展示で、ラリックが室内の装飾を担当した客車(サロンカー)一両をそのまま欧州から移送し内部を公開している(特別展示「ル・トラン」、別料金が必要)。

 

→ 箱根ラリック美術館のホームページ

 

*住所は神奈川県足柄下郡箱根町仙石原186-1 、最寄りのバス停は「仙石案内所前」(箱根湯本駅から箱根登山バス、ほかに新宿駅から小田急箱根高速バスもある)

 

 

 

2 伊勢半本店紅ミュージアム(3月開館)

 

 武蔵国川越の出身である伊勢屋(澤田)半右衛門が創業した伊勢半は、19世紀前半、江戸ではじめて紅(べに)を製造・販売した。近代に入って口紅の時代となり、同業者が廃業したのちも、伊勢半は「最後の紅匠」として現在も存続している。この資料館は、紅に関する日本唯一のミュージアムとして、伊勢半本店の店舗の中に設けられている。最初にして最後、そして唯一であるという誇りが、小さなスペースながら、その展示から伝わってくる。

 もちろん、紅は伊勢半が江戸で製造をはじめる以前からあった。しかし、伊勢半の紅は非常に良質で、一世を風靡した。本当に良質な紅は、朱色というよりはむしろ玉虫色に輝くという。紅の製造過程・江戸の人々の紅へのあこがれ、紅にまつわる用具などの展示とならんで、この玉虫色の紅の話はちょっとした驚きである。

 なお、当初は伊勢半本店紅資料館の名称でオープンしたが、その後紅ミュージアムと変更するとともに、展示スペースの充実がなされている。

 

→ 伊勢半本店紅ミュージアムのホームページ

 

*住所は東京都港区南青山6-6-20、K's 南青山ビル1階、最寄り駅は地下鉄の表参道駅、入場無料(企画展開催の場合は有料)。

 

 

 

3 村井正誠記念美術館(4月開館)

 

 1999年に93歳で死去した村井正誠(まさなり)は、日本の抽象画の草分けのひとりとして知られる。これは、村井氏の世田谷の旧宅に設けられた美術館。アトリエ部分だけを残し、その回りを覆う形で作られている(設計は隈研吾氏)。氏の生前の雰囲気を感 じつつ、その作品と収集品と出会うことができる。建物の外壁に格子状に貼られている木も旧宅の木材の再利用だそうである。日曜日のみ開館で、しかも事前申し込み制なので、ぶらりと行くことはできない。その代わり、人数を制限することで、ゆっくりと雰囲気を楽しめる。

 

→ 村井正誠記念美術館 のホームページ 

 

*開館は金曜日と日曜日の11−13時と14−16時(ただし12−2月は休館)。予約方法は、希望日の1ヵ月前までに往復ハガキに住所、名前、電話、希望日時を記入し申し込む。〒158-0091世田谷区中町1-6-12

 

 

 

4 かちどき 橋の資料館(4月開館)

 

 中央が開閉する橋として長く人々に親しまれてきた勝鬨橋(1940年完成)は、船の航行の減少と自動車の増加によって、1970年を最後に開かずの橋となり、現在に至っている。この橋のたもとの旧変電所施設に、橋の模型、当時の機械、映像を展示する資料館 がオープンした。

 この資料館で特筆すべきは、毎週木曜日に実施されている橋脚内見学ツアーである。1回50分程度で、数人(事前申し込み制)を対象に、ボランティアが運転室と、その下の橋を開くための歯車、開橋部分を支えるウエイトが見える空間を丁寧に紹介、案内してくれる。

 

→ 勝どき橋の資料館のホームページ 

 

*火・木・金・土曜日開館。無料。最寄り駅は地下鉄線の築地、築地市場、勝どき。橋脚内見学ツアーは、往復ハガキでの申し込みが必要。問い合わせは電話03-3543-5672。

 

 

 

5 アクティブ・ミュージアム(wam) 女たちの戦争と平和資料館(8月開館)

 

 2002年に亡くなったジャーナリスト・松井やよりの意志を受けて、日本ではじめて設けられた戦時性暴力の被害と加害の資料を集めたミュージアムである。小さなスペースだが、熱い思いが伝わってくる展示である。数ヶ月間の期間ごとに特別展を企画している。

 

→ アクティブ・ミュージアムのホームページ

 

*住所は東京都新宿区西早稲田2-3-18、AVACOビル2階(早稲田奉仕園の中にある)、休館日は月・火・祝日。

 

 

 

6 三井記念美術館(10月開館)

 

 江戸時代以来の三井家の資料を保存し研究する資料館が、東京・中野区にある三井文庫である。

 1985年、この三井文庫に併設する形で、三井家ゆかりの美術品の展示スペースが設けられた(三井文庫別館)。しかしながら、その施設は東京の他の私立美術館と 比べるとやや見劣りがし、非常に質の高い内容の収蔵品に対してアンバランスな感じさえしたものだった。

 2005年秋、長く三井の活動の中心を担ってきた日本橋の三井本館ビルの中に美術館は移った。交通の便がよくなっただけではなく、展示も見やすくなった。開館を記念する特別展では、茶道具はひとつひとつ独立したケースで四方から鑑賞できるよう展示され、効果的なライティングが作品をさらに引き立てていた(ただし、解説のラベルの文字はやや小さく、読みにくかった。見学者の年齢層は比較的高く、不満も出たのではないか。その後改善されたであろうか)。

 また、館内には、かつて三井家が所蔵していた茶室、如庵(現在は愛知県犬山市にある)も復元されている。

 

→ 三井記念美術館のホームページ 

 

*住所は中央区日本橋室町2−1−1、三井本館7階(日本橋三越となり)、最寄り駅は地下鉄の三越前駅

 

 

 

7 在日韓人歴史資料館(11月開館)

 

 港区にある韓国中央会館内にオープン。今のところ2つの展示室を中心とした小規模なものだが、将来は拡張する予定という。今集めておかないと分からなくなってしまいかねない在日コリアンの戦前や戦後の暮らしや活動についての資料が集められている。 在日コリアンにとって貴重な学びの場であるのは勿論だが、それ以外の人々にとっても日本の中のマイノリティの生活を伝える資料館として大切な施設であると感じる。

 

→ 在日韓人歴史資料館のホームページ

 

*日・月曜日など休館。住所は港区南麻布1-7-32、最寄り駅は地下鉄線の麻布十番

 

 

 

 

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