六町ミュージアム・フローラ


 東京と茨城を結ぶ新たな路線として2005年に開業したつくばエクスプレスに乗車し、始点の秋葉原駅から6つめの駅で下車する。六町駅である。次の八潮駅から埼玉県なので、東京の北の端ということになる。駅から少し離れるとまだ空き地や建築中の建物もあり、発展途上の町とわかる。
 六町ミュージアムフローラは、六町駅の出口から西南に2~3分、住宅地の中にある美術館である。
 外観が面白い。建物の中央部が下がって、すり鉢状の曲線を見せている。もうこれだけでわくわくする。

 開館は2012年。つくったのは地元の建設会社の社長で、場所も元はこの会社の資材置き場だったところだそうだ。この美術館のある足立区は文化施設が少なかったこともあって、近隣の方々にアートに直接触れる機会を提供したい、子どもたちへの教育にも資するものにしたいという思いをもって開設したという。防災や環境への視点も大切にしていて、屋根部分の緑化(1階展示室の屋根にあたるところを芝としている)、災害時の水の確保、また、水害の際には流水の調節を行うという。外から見えたすり鉢状になったところは建物の中央部で、ここに水盤を設置し、これら水に関する調整の機能を持たせているわけである。結果、その目的とは別に建物のユニークさが魅力的な美術館となっている。
 美術館に社名などを冠さない潔さも好感が持てる。

 所蔵作品の中心は近代・現代の日本画で、四季に合わせておよそ2ヶ月間の展覧会ごとに約60点の作品を展示する。
 展示室は、中央の水盤を囲んで内側の壁面は弧を描く。壁面に掛けられた作品を鑑賞しながら進むと、建物の隅にあたる場所でまとまった展示がなされている。屏風はケースなしに折って立てて展示されているので、よく鑑賞できてうれしい。額装の作品の展示や、解説のラベルの貼り方はどことなくあか抜けなくて、逆に新鮮に思える。
 2階部分は狭く、光が入るので、休憩も可能な多目的スペースとしている。



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*日・月曜日休館(夏展は日・月・火曜日休館)