2017年に開館したミュージアムより

太田市美術館・図書館
太田市美術館・図書館

 

1 MOA美術館 (2月リニューアル・オープン)

 

 現代美術家杉本博司さんらが加わったリニューアルが行われ、1年弱の休館を経て再オープンした。

 2階3室、1階3室という展示室の配置は変わらないが、ケース、照明、間仕切り面、展示台がとても美しく整えられた。ことにケースは低反射、高透過のガラスが用いられ、作品の魅力がストレートに伝わってくる。2階展示室の間仕切りは黒漆喰で仕上げられて、落ち着いた雰囲気となり、また展示ケースへの映り込みが抑えられた。

 このほか、ロビーやショップ、カフェもスタイリッシュにリニューアルされた。

 

→ MOA美術館(外部リンク)

 

 

*JR熱海駅前からMOA美術館行き東海バス。原則木曜日休館。

 

 

 

2 小黒恵子童謡記念館 (4月リニューアル・オープン)

 

 小黒(おぐろ)恵子さんは川崎市出身の童謡作家。もしあなたが1970年代から90年代にかけて子どもだったら、あるいは小さな子どものいる親であったなら、NHKの番組「みんなのうた」や「おかあさんといっしょ」で小黒さんのつくった童謡を必ず聞いている。

 小黒恵子童謡記念館は小黒さんが1991年に童謡文化の普及のために自宅を改築して開いたもので、2014年に小黒さんが亡くなったのちに川崎市に移管された。空調など館内の整備が行われたが、基本的に小黒さんが作り上げた記念館の姿が踏襲されている。温かな雰囲気で、はじめて足を踏み入れた人もとても懐かしい気持ちになる素敵なミュージアムである。

 資料類は基本的に2階に展示され、1階はホールとしても使えるようになっており、さまざまなイベントも行われている。

 

→ 小黒恵子童謡記念館(外部リンク)

 

 

*東急田園都市線二子新地駅東口より徒歩10分~15分。土・日・月・祝日に開館。

 

 

 

3 太田市美術館・図書館 (4月開館)

 

 群馬県の太田市は高崎市、前橋市につぐ県内で3番目に大きな市である。人口は約22万人。しかし、他の日本中の都市と同じく駅周辺から賑わいが消えつつあり、市の悩みとなっていた。それを改善してゆくきっかけとして構想されたのがこの複合施設で、場所は駅北口すぐのところ。設計は平田晃久。白い壁面と広くとったガラス面、曲線、曲面を多用した外観は遠くから、東武線の車内からも目を引く。

 外側がユニークなだけでなく、内側もたいへん面白いつくりで、大きなスロープに囲まれた5つの四角い建造物がその基本である。5つは面積も高さも角度も異なっており、それらが各階で接続し、またスロープでつながっている。壁面は棚になっていて図書が並び、コーナーにはさまざまな椅子が置かれている。

 美術館の展示室は1階、2階、3階に1部屋ずつで、大きな規模ではないが、1階・2階の部屋は図書館に抱かれるようにしてつくられていて、1階展示室は天井を高く取り、3階展示室は外光が入る。

 開かれる展覧会のジャンルはさまざまだが、地元との関係を大切にしたテーマや作家を積極的に選んでいる。

 1階にはおしゃれなカフェがあり、屋上は緑化庭園になっている。

 ここを訪れた誰しもが、「我が町にもこんな美術館、図書館が欲しい!」と思うに違いない。

 

→ 太田市美術館・図書館(外部リンク)

 

 

*東武線太田駅北口下車すぐ。原則月曜日休館。

 

 

 

4 鎌倉歴史文化交流館 (5月開館)

 

 鎌倉駅西口の鎌倉市扇ガ谷の地に新たに登場した市の施設。

 この付近には鎌倉時代には有力御家人、安達氏が居館を構えたといい、近代には三菱財閥の岩崎小弥太の別荘がつくられていた。そして近年、この場所につくられた個人居宅が市に寄贈され、内装・外観を活用して、歴史資料館、交流・体験施設となった。個人宅だったということだが、一般的な日本の住宅とはまったく異なる規模のもので、4つの展示室のほか、エントランス、交流室、庭園がゆったりととられている。

 武士の都であった鎌倉には多くの歴史・文化遺産が伝わり、また発掘によって明らかとなった知見も数多いが、展示施設としては、近隣寺社からの寄託作品を中心とする鎌倉国宝館があるのみであった。この施設のオープンによって、古代から現代まで、通史の展示を見ることができるようになり、また、鎌倉の遺跡や遺物について体感的に学べるようになった意義は大きい。

 開館日の毎週土曜日11:00より行われている展示解説はわかりやすく、お勧めである。

 

→ 鎌倉歴史文化交流館(外部リンク)

  

 

*鎌倉駅西口より徒歩約7分。日・祝日は閉館。

 

 

 

5 富山県美術館 (8月開館)

 

 富山県には1981年に開館した県立近代美術館があったが、耐震性などで問題があり、その後継として富山県美術館が誕生した。

 富山駅の北口から歩ける距離であり、富岩(ふがん)運河環水公園という都市公園内にある。

 3階建てで、1階は駐車場、エントランス、小ギャラリー、カフェ、ショップ。2階は常設展示室2室と企画展のための展示室3室(大規模な企画展の場合は常設展示室用の1室も企画展に回すことができる)。3階は旧近代美術館のユニークなコレクションを引き継いで、ポスター、椅子、また富山県ゆかりの瀧口修造関連の作品などを展示する常設展示室およびレストラン(東京の人気店が入った)がある。また、屋外広場や子どもたちに人気の屋上公園がある。

 2、3階吹き抜けのホワイエ、また展示室まわりのスペースのつくりもたいへんぜいたくで、気持ちがよい。階段や踊り場、エスカレーター、展示室をつなぐ廊下、あらゆる場所が絵になる。

  

→ 富山県美術館(外部リンク)

 

 

*富山駅北口から徒歩15分、南口から徒歩20分。バス利用の場合、富山駅南口7番のりばより「富山赤十字病院 富山県美術館経由」に乗車、「富山県美術館」下車。原則水曜日、祝日の翌日休み。

 

 

 

6 江之浦測候所 (10月オープン)

 

 測候所いう不思議な名称に戸惑うが、現代美術家・杉本博司さんの長年の構想による独創的な施設である。

 相模灘を望む広大な土地を逍遙しながら、各所に配置された施設を観覧する。杉本さんの写真の作品、茶室やガラスによる舞台、また長年氏が収集してきた礎石類や敷石など。そしてそれらは夏至、冬至、春分・秋分の太陽の動きを意識して配置されている。異なる時代や場所からもたらされたさまざまな展示品は、それぞれに由来があるが、押し付けがましく迫ってはこない。だが、それらには統一感があり、散漫でない。人が生み出したものも、結局のところ自然との対話の中にこそあり所があるということが実感できる。

 完全予約制。ぶらりと行くことはできないかわりに、一度に入る人数を限ることで、空間を堪能できるよう配慮されている。

 

→ 江之浦測候所(外部リンク)

 

 

*東海道線根府川駅前より無料送迎バスあり(ただし、チケット予約時にバスも予約する必要あり)。原則火曜日、水曜日休み。

 

 

 

7 アドミュージアム東京 (12月リニューアル・オープン)

 

 アドミュージアム東京は広告専門ミュージアムとして日本唯一のものという。開館は2002年。それから15年たち、全面的な展示のリニューアルが行われた。

 入口は地下2階。扉のない開放的な入場口である。

 展示の大きな変更点としては、映像やデジタル展示を増やしたこと。見やすい、分かりやすい説明で、自然に広告の歴史がわかるようになっている。また、リニューアル以前からの人気展示である秀逸なテレビコマーシャルの映像も健在。以上の常設展示のほか、企画展示の充実もはかってゆく予定とのこと。

 地下1階のフロアは資料室となっており、だれでも利用できる。

 

→ アドミュージアム東京(外部リンク)

 

 

*新橋駅から徒歩5分。入館無料。原則日曜日、月曜日休館。

 

 

 

 

 

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富山県美術館
富山県美術館