2002年に開館したミュージアムより

泉屋博古館分館
泉屋博古館分館

1 武蔵野市立吉祥寺美術館(2月開館)

 

 武蔵野市は、大型の美術館を新たに建てるのではなく、既存の建物を活用しての美術館づくりを選択した。吉祥寺駅に近い百貨店の建物の7階につくられたこの市立吉祥寺美術館は、休館日を少なくし(毎月最終水曜日など)、閉館時間を遅く設定する(19時30分まで)など、アクセスのしやすさということでも優れる。

 館内は企画展示室、浜口陽三記念室、萩原英雄記念室の3室からなる。浜口・萩原の両名は優れた版画作家で、その作品がかなり明るい照明のもと展示されている。版画ファン必見である。

 階下の百貨店とはエレベーターのほか直接階段でつながっているため、百貨店の放送が美術館に入ってくる。これは買い物客が気軽に立ち寄れる美術館にしたいためという理念と音が入って気が散るというデメリット、その両面がある。

 

→ 武蔵野市立吉祥寺美術館

 

*最寄り駅はJR・京王井の頭線の吉祥寺(徒歩3分、FFビル=伊勢丹新館の7階)

 

 

 

2 ちひろ美術館・東京(9月リニューアルオープン)

 

 いわさきちひろの旧宅に1977年にオープンした美術館がこのたび全面建て替えとなった。

 段差をまったくつくらないなど「バリアフリー化」、廊下など気持ちのよい木の床や採光、第1・3土曜日のギャラリートークなどイベントの実施、ちひろを偲ぶことができるアトリエや庭の復元、カフェ・ショップの充実、大規模ではないが絵本図書室やプレイルームがあり、小さな子ども連れでも安心して来館できるなど、配慮が行き届いている。ミュージアムの「優等生」といった印象。

 

→ ちひろ美術館

 

*最寄り駅は西武新宿線上井草(徒歩7分)

 

 

 

3 海外移住資料館(10月開館)

 

 国際協力事業団(JICA)による博物館。JICAおよびその前身のひとつである海外移住事業団が戦後の中南米への移民に関する業務を行ってきたことから、中南米とそれに先行する北米・ハワイへの海外移住の歴史、移民の暮らし、日系人についての展示を行っている。再現展示や映像による証言も多く、よくまとまっており、また見ごたえもある。

 しかし、私は見終わったあと物足りなさを強く感じた。何かが足りない。何があるかは展示を見ればすぐ分かるが、何がないのかを知ることは難しい。少し考えて、この展示は安心して振り返ることができる物語としてまとめられたものだと気がついた。かつては大変だったがなんとかやってきた、日本の文化を大切に伝えたい…。しかし、それだけではない部分、この展示からは伝わらない移民の歴史や記憶があるのではないのか。記憶の継承というミュージアムの役割について、どうすれば果たせるのか、どこまで果たせるのか、そこには非常に難しい課題があるように思う。

 

→ 海外移住資料館

 

*最寄り駅はJR・東急東横線・横浜市営地下鉄桜木町駅(徒歩15分)

 

 

 

4 泉屋博古館東京(10月開館)

 

 京都の泉屋博古館(1960年開館、住友家のコレクションを公開)の分館。中央のホールと2つの展示室からなるシンプルな美術館である。

 開館記念展は、泉屋博古館名品展として、同館が誇る青銅器と中国絵画の展覧会を行っていた。第1展示室(青銅器)はやや狭いが、向かい合ったガラスケースのうつり込みも気になることなく、理想的なライティングで気持ちよく見ることができた。しかし、第2展示室は、絵画作品なので致し方ないところもあるとは思うが、照明は抑えられ、しかも奥行きのあるガラスケースの奥に掛けられており、明るい第1展示室を見たあとだったこともあって、かなり暗く見づらく感じた。 この後(2004年以後)はどのような展示を行っていくつもりなのか、注目していきたい(その後、照明は改善されてきているように思う)。

 

→ 泉屋博古館東京

 

*最寄り駅は東京メトロ南北線六本木一丁目

 

 

 

 

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