杉本寺の十一面観音像

  毎月1日と18日にご開帳

伝円仁作の像
伝円仁作の像

住所

鎌倉市二階堂903

 

 

訪問日

2006年10月1日、 2014年2月1日

 

 

 

拝観までの道

杉本寺は、鎌倉駅東口駅より鎌23、24系統の京急バスに乗車し約10分、「杉本観音」で下車。降りてすぐ前方である。

鎌倉駅からは東北東の方角で、歩くと30分くらい。

 

「杉本観音」と書かれたのぼりが林立する石段を登っていくと、正面に本堂が見えてくる。

杉本寺では毎月1日と18日を縁日とし、この日に本尊のご開帳を行っている。筆者は14時すぎに着いたが、ちょうど法要の最中だった(13時30分開始とのこと)。14時半前後にご法要が終わると本尊の開扉となり、ご参加の信者の方のあとについて拝観することができた。

お聞きしたところ、しばらくして閉じてしまうそうなので、この時間にうかがうのがよいようだ。

 

杉本寺ホームページ

 

 

拝観料

200円

 

 

お寺や仏像のいわれ

天台宗の寺院。鎌倉幕府の公式記録である『吾妻鏡』に、1189年に大倉観音堂が火事となったが本尊は救い出されたという記事があり、これが杉本寺の前身と考えられている。つまりこの寺は鎌倉幕府開創以前からの古刹ということになる。

 

坂東三十三観音霊場の第一番札所。本堂内には各時代の仏像や奉納された絵馬などが所狭しと置かれ、信仰厚い寺の雰囲気が伝わってくる。

 

現在杉本寺の本尊は3躰の秘仏・十一面観音立像で、それぞれ行基作、円仁作、源信作という伝承をもつ。本堂に接続する収蔵庫に安置される。開帳の際には前立ちの観音像の脇から奥へと進ませていただいける。

 

 

拝観の環境

収蔵庫の扉口からの拝観。照明はあるが暗く、全体の雰囲気はわかるものの、細部までよくわからない。

 

 

仏像の印象

3躰の本尊のうち、1躰は一木造、2躰は寄木造である。

一木造の像は行基作との伝承をもつ。3躰のうち、向って左側に安置される。像高150センチほどで、素木の像である。

この像が3躰のうち最も古いと思われ、1189年の火災以前からの本尊であるのかもしれない。12世紀ごろの作とされるが、こうした素朴な像は、制作時期をしぼることが難しい。

霊験あらたかな観音さまとして知られ、別名「覆面観音」「下馬観音」といい、お寺で頒布している「御影」では、頭巾をかぶった姿となっている。かつては本当に覆面をつけていたのかもしれない。

 

向って右側に安置されている像は3躰のうち一番小さく、源信作と伝える。像高は120センチ余りである。玉眼が入っており、明らかに鎌倉期の作品である。

大きめの顔は理知的で、きりりとした表情。

腰の下で天衣が1本横切る。多くの菩薩立像では天衣は上下に横切るのだが、この像はそれが1本なので、もう1本は背中側を通っているのか、もしくは2本の細い天衣が重なるようにして1本に見えているのかもしれない。

胴はしっかりと絞り、裙を大きく折り返し、衣の襞(ひだ)は浅くつくる。裙の裾はぼってりと足にかかっている。

像高が小さいこともあって、可憐な印象の像である。

 

中央の像はほぼ等身大(像高約170センチ)で、円仁作との伝えがある。衣には古い時代の特色が残る(渦巻きの紋や膝下のU字形の衣文)ものの、形式化しているため、平安時代後期の作とも思われるが、そうではなく鎌倉期に作られた擬古的な仏像と考えられている。

丸顔でスタイルよく、安定した立ち姿が魅力的である。

右肩からの天衣はゆらゆらと下がり、腰の下を横切る天衣や裙の襞は比較的深い。下肢では裙の打ち合わせが心地よいリズムで曲線を描いている。

 

 

さらに知りたい時は…

『檀像』(『日本の美術』253)、井上正、至文堂、1987年

『かながわの平安仏』、清水眞澄、かもめ文庫、1986年

『神奈川県文化財図鑑 彫刻篇』、神奈川県教育委員会、1975年

 

 

仏像探訪記/神奈川県