菅山寺弘善館の十一面観音像

珍しい木心乾漆造の仏像

住所
長浜市余呉坂口


訪問日 
2016年11月6日


この仏像の姿は(外部リンク)
長浜・米原・奥びわ湖を楽しむ観光情報サイト



拝観までの道
菅山寺弘善館はJR北陸本線木ノ本駅の北約3キロ、余呉駅の東約2キロ半のところにある。
木ノ本駅のレンタサイクルが行きやすい。それほどアップダウンはなく、また近くまで行くと案内表示がわかりやすく設置されている。

拝観は事前に管理の方に連絡をとり、お願いする。
窓口は奥びわ湖観光協会または木ノ本駅観光案内所。


拝観料
300円


お寺や仏像のいわれなど
菅山寺は真言宗の寺院。弘善館はその里坊である。里坊というのは、本来の寺は山上にあり、その窓口として麓につくられた子院のことである。
本来のお寺は東北東へ1時間くらいのぼっていった大箕(だいき)山と呼ばれる山の中にあり、美しい池やケヤキの巨木があって、野鳥の観察地としても有名らしい。本堂、護摩堂、天満宮が建っているという。
創建は奈良末と伝え、はじめ大箕寺といったが、菅原道真によって再興された際に、菅原氏の「菅」の字をとって菅山寺となったと伝える。


拝観の環境
弘善館は10年ほど前に改築され、菅山寺に伝わる仏像や銅鐘などの文化財を保管し、展示する場所となっている。ここで取り上げる十一面観音像のほか、明王像、獅子・狛犬像、天神像、弘法大師像など多数の像が安置されている。
それぞれ近くよりよく拝観させていただける。


仏像の印象
十一面観音像は像高は約1メートル。
木心乾漆の像である。この技法でつくられた像としては、滋賀県内にはこのほか鶏足寺世代閣に安置されている神将像3躯があるばかりで、大変珍しい。平安初期、あるいは奈良末期にさかのぼれるかもしれない古像である。
ただし、本来この寺にあったものでなく、江戸時代に彦根藩家老とその母君が天神900年忌に際して寄進したということが、本像の背面と台座裏の墨書よりわかっている。十一面観音像が天神の本地仏とされていたことからの寄進であろう。

この観音像にお会いしてまず感じるのは、姿があまり整っていないということである。造形の崩れというべきか。または長年のゆがみが重なってそうなってしまったものか。鼻や口が正中線をはずし、上半身はのけぞり気味である。しかしそれゆえの魅力というか、動きが感じられ、引きつけられる。

顔は小さい。一方、下半身は長く、またどっしりとしている。
傷んでいる場所もあるが、よく残っているところ、たとえば向かって左側の髪の生え際や同じく向かって左(右足)の深い衣のひだの繰り返しはすばらしい。
足の間には、平安時代前期の彫刻によく見られる渦のような模様のそのもとであるかのような小さな衣の流れが見える。
顔つきは角度によっては若者の風貌を見せ、また壮年の落ち着きがあるようにも感じられる。静かに、何ごとも見通しているような目がまた魅力的である。


さらに知りたい時は…
『びわ湖・長浜のホトケたち』(展覧会図録)、 長浜市長浜城歴史博物館編、長浜市、2014年


仏像探訪記/滋賀県