太平寺の千手観音像

  素朴な一木造の仏像

住所

那須烏山市滝395

 

 

訪問日 

2011年2月27日 

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

とちぎの文化財

 

 

 

拝観までの道

宇都宮駅から烏山線で約45分、終点のひとつ手前の滝駅で下車。太平寺は駅から南に徒歩約5分。

 

お寺の手前で那珂川支流の江川という川にかかる橋を渡る。この橋のやや下流、太平寺から見て東側に龍門の滝がある。高さ20メートル、幅65メートルというなかなか壮大な滝で、龍が住むという伝説がある。

龍門の滝を望む好位置に「龍門ふるさと民芸館」がたっている。

現在太平寺は無住で、遠方の寺の住職が兼務しているとのこと。地元の檀家総代にお願いすると拝観できる。問い合わせは龍門ふるさと民芸館または那須烏山市観光協会へ。

 

那須烏山市観光協会  龍門ふるさと民芸館

 

 

拝観料

志納

 

 

お寺のいわれ

太平寺は平安前期に坂上田村麻呂や慈覚大師円仁によって開かれたと伝える。烏山で唯一の天台寺院だそうだ。

中世、この地域で勢威をふるった那須氏や江戸時代後期の烏山藩主・大久保氏の保護のもとで栄えたという。

 

 

拝観の環境

本尊は千手観音立像で、須弥壇上の厨子中に安置される。もとは数十年に一度だけ開扉される秘仏であったという。

本堂内は照明もあり明るく、近くよりよく拝観できるが、何分にも大きな像のため、頭頂部や足は見えない。

 

 

仏像の印象

像高は約230センチの立像。一木造。樹種はカヤという。

背面、頭部から脚部にかけて広く内ぐりして、背板をあてているという。この背ぐりは丸木舟のように行われていて、こうしたつくり方は南北朝時代以後の像にみられるものという。本像もまた、南北朝時代から室町時代、あるいは桃山時代の作と考えられている。

 

丸顔で腫れぼったいまぶた、鼻の下がふくらんで人中を強くあらわす表情、胸の下に輪郭を陰刻した表現など、全体に素朴な魅力にあふれる。 地方仏師あるいは寺僧によってつくられた像なのであろう。

鼻や口は小さい。顔や体はわずかに傾く。肩はなで肩。手は、正面の合掌手やその下の鉢をとる手も本体と共木で彫りだし、彫り痕を残す。その鉢もなぜか球形をしていて、地方的な造形のほほえましさを感じる。脇手は小さい。頭上面も共木でつくられている。 像表面は白く塗られ、墨で書かれたひげや胸飾りが墨で描かれる。

 

素朴な造形であること、衣文線が省略されていることから、立木仏の系譜を引く像なのかもしれない。

 

 

その他

本尊の左右、ガラスケース内には近世作の二十八部衆像や地蔵十王像が安置されている。

 

 

さらに知りたい時は…

『とちぎの文化財』上、栃木県文化協会、1982年

『下野の仏像』、野中退蔵、月刊さつき研究社、1976年

 

 

仏像探訪記/栃木県