東京国立博物館東洋館展示・妙傳寺蔵菩薩半跏像

朝鮮三国時代の金銅仏

 

 

住所

台東区上野公園13-9

 

 

訪問日 

2020年7月26日

 

 

館までの道

東京国立博物館は、JR上野駅公園口から徒歩約10分。

東洋館(アジアギャラリー)は、本館に向かって右手の建物。

休館日は原則月曜日と年末年始。

 

 

入館料

総合文化展(平常展)一般1,000円

 

 

お寺や仏像のいわれなど

妙傳寺は京都市の八瀬近衛町にある天台宗寺院。同じ左京区内に同名の日蓮宗の大きな寺院があるため、区別するために「妙傳寺(八瀬)」と書かれることがある。

お寺の所在地は叡山電車の終点の八瀬比叡山口駅から高野川を2キロほど上流に進んだところで、創建は江戸時代初期ながら、国や市指定の仏像を伝える。国重要文化財指定の十一面観音像は京都国立博物館寄託で、時折常設展示室で展示されている。

妙傳寺の本尊は秘仏で、如意輪観音としておまつりしてきた金銅の菩薩半跏像。長くお寺の創建時である江戸時代の前期につくられた模古作と考えられていたが、近年、7世紀の朝鮮半島の仏像であると考えられるようになった。

このことについては、2017年1月にNHKのニュースや新聞各紙でも報じられ、2018年には京都・泉屋博古館で行われた「仏教美術の名宝」展に出品された。その後、大津市歴史博物館での展示を経て、東京国立博物館東洋館で公開されている。一方、妙傳寺には精巧につくられたレプリカがまつられているそうだ。

 

 

鑑賞の環境

東洋館(アジアギャラリー)の第10室、「朝鮮の仏教美術」の中で独立ケース中に展示されている。

 

 

仏像の印象

像高(総高)は約50センチ、座高は約37センチだそうだ。

銅造鍍金の像である。いわゆる半跏思惟の姿をとる。

頭部は大きい。そこに豪華な冠がつき、さらに大きく感じる。面白いのはまげの上にも飾りを載せていること、また正面の頭飾に化仏がつくことである。

顔は、切れ長の目が印象的である。眉はあまり段を強調せず、上まぶたはふくらみ、下まぶたはするどい輪郭をもってカーブする。鼻はあまり長くないが、よく通る。

鼻と口は接近し、口角をあげて華やかな笑顔をされている。口もとの抑揚も印象的である。

顔立ちは上品で、以前テレビで紹介された映像に比べて本物はとてもすばらしい。

髪は正面で左右に分け、左右に刻まれる毛筋は一種独特な雰囲気を出している。束ねた髪が左右の肩に下がる。

ほおに近づける右手は、中指が顔につかんばかりである。指は長く、薬指や小指を曲げている様子も美しい。

 

衣は下半身の裙、上半身は薄い布をまとい、左肩から吊っている。背面も吊っている状態がわかる。

左の脇腹にしわがよるなど、細かなところに気を使ってつくっている。左手は足首の上にのせ、甲を上に向ける。

姿勢はあまり猫背としない。この半跏思惟の形はどれだけ上半身を前傾させるか、右手を長くするか、右足の膝を高くするかなど、体全体をうまく調節しないと自然な姿にはならない。それが絶妙であるように思う。

下半身の衣や飾りはにぎやかである。正面に渦を巻いたような金具を使っているのも面白い。また、右の膝の下の衣が思いきって上へと翻っているさまも印象的である。

 

蛍光X線分析により、銅が90%弱、錫10%で鉛はほとんど含まれないという結果であったといい、これが古代の朝鮮製であろうとされた大きな根拠となった。

 

 

その他

この像を見ていると、法隆寺宝物館の156号像(丙寅銘)を想起せざるを得ない。眼の様子や裙の上部などはまったく異なるが、気になるのは正面の頭飾で丙寅銘像はいかにも化仏があるのではないかという場所をこしらえながら、中は何も描かれない。それに対して妙伝寺の像は明確に化仏をつける。

腕釧も近さを感じる。また、右膝下の衣の翻りは妙傳寺像はとても華やかであり、丙寅銘像はその単純化のようにも思える。

 

 

さらに知りたい時は…

『仏教美術の名宝』(展覧会図録)、泉屋博古館,、2018年

「京都・妙傳寺の半跏思惟像について」(『学士会会報』927)、藤岡穣、2017年11月

 

 

仏像探訪記/東京都