鹿勝川庚申堂の兜跋毘沙門天像

和歌山の海から引き上げられたと伝わる

住所
岡崎市鹿勝川町辻1-2


訪問日 
2017年1月1日


この仏像の姿は(外部リンク)
額田町の歴史マップ・庚申堂の毘沙門天

 


拝観までの道
兜跋毘沙門天の古像2躯が安置される鹿勝川(かかつがわ)庚申堂は、岡崎市の東南部にある。
交通は、名鉄名古屋本線の本宿(もとじゅく)駅下車。駅前の「本宿」バス停より名鉄バスくらがり線にて「樫山口」下車。ただしバスの本数は日中2時間に1本程度。下車後東南東に徒歩約15分。
本宿駅前にはタクシーが常駐している。

場所はわかりやすいとはいえない。
インターネットの地図を見ると、鹿勝川町辻という地名のあたりに短い階段とお堂が記されている。そこが目指す庚申堂である。
階段の下まで行けば案内板が出ているが、そこまでの間には案内表示などはなく、特に目印になるような建物などもない。
「樫山口」の停留所に着く直前、バスは新東名高速の下をくぐる。バスを降りたらそこまで戻り、高速道路の北側の道路を東へ800メートル(徒歩10分)くらい進んだら右(南側)へと折れる。そこから右、左、右と曲がって進んで行くと、庚申堂の西側に出る。


拝観料
拝観自由


お堂や仏像のいわれなど
本尊は秘仏の青面金剛像で、60年に一度の開帳という。
その左右に兜跋毘沙門天像が1躰ずつ安置されている。
同じ尊格が2躰あるというのも不思議な話だが、像の雰囲気や構造は同様で、ともに地天女像のてのひらに乗る。
江戸時代後期の縁起が残されていて、それによると和歌山県の海から薬師如来像とともに引き上げられ、請われてこの地に移されたという。縁起に出てくる地名などは実在し、あながち作り話ではないようだ。


拝観の環境
堂内には照明もあり、よく拝観できる。


仏像の印象
2躯の兜跋毘沙門天像は、平安前期から中期にかけての魅力ある像である。
足下の地天女像も含んだ一木から彫り出す。針葉樹材で、カヤではないかとされる。
便宜的に向かって左の像は「その1」、右の像は「その2」とよばれたりもする。その1は像高約170センチ、その2は約160センチ。ともに背面からくりを入れている。直立に近い立ち方で、あまり動きは感じられない。

2像の印象は一見ほぼ同じだが、よく見ると若干違っている。
まず手の動きが異なる。その1は両肘とも曲げて、手を前に出すが、その2は右手は前に出し、左手は横に突き出して肘を曲げ、手を上に上げている。
また、体の太さも異なっていて、その1はほおはすっきりと締まり、胴も引き締まる。下半身も比較的細身であり、長く感じられる。胴については、腹の上半分に布をきつく巻いているので、お腹の丸みが抑えられているという表現をしている。
一方その2は、顔は四角張ってり、目鼻は大きく、顎も力強く表現されている。右手の二の腕も太く、お腹は丸まると出て、下半身も太り肉である。

共に鎧は単純で力強い意匠である。マントの結び目は両像で異なっているが、それぞれかわいらしく表現されている。加えてその1の像では腹に付けれている獅噛みや胸の鎧の下の線がアクセントになっている。
総じて一木造の重厚な表現に、すっきりとした鎧の線、そこに部分的に装飾性を加えて華やかさを添えて、魅力がある。


さらに知りたい時は…
『愛知県史 別編 文化財3 彫刻』、愛知県史編さん委員会、2013年
「新指定の文化財』(『月刊文化財』464)、文化庁文化財保護部、2002年6月


仏像探訪記/愛知県