大原美術館の一光三尊仏

  北魏石仏の名品

住所

倉敷市中央1-1-15

 

 

訪問日

2009年3月27日

 

 

この仏像の姿(外部リンク)

大原美術館・主な作品の紹介

 

 

 

館までの道

倉敷駅南口から徒歩10〜15分。休館日は原則月曜日。

 

 

入館料

一般1,000円

 

 

館や仏像のいわれ

大原美術館はもっとも歴史ある日本の私立美術館のひとつ。展示の中心である西洋の名画の収集に努力したのは、倉敷の実業家大原孫三郎と洋画家の児島虎次郎である。

しかし大原美術館が収蔵する名品はそれだけにとどまらない。土蔵を改造してつくられたなかなか風情のある工芸館・東洋館には、日本の工芸作品や東洋の古代美術の名品がならべられている。中でも中国石仏のコレクションにはすぐれたものが多い。これらは、戦前に大原美術館の基礎をつくった児島虎次郎が大陸に旅行して収集したもののほか、大原孫三郎が別ルートで購入したもの、そして戦後に大原美術館に東洋美術の展示室をつくる計画が本格化する過程で美術商などから購入したものがある。

中でも圧巻は「一光三尊仏立像」である。

もと中国河南省のお寺にまつられていた像だそうで、銘文はないが、北魏時代の末期の作風という。かつて大阪の大原邸にあり、戦後美術館に移したものという。

 

 

見学の環境

展示室は明るく、すぐそばに寄って見ることができる。ただし、光背の裏面も浮き彫りで埋め尽くされているそうだが、壁に付いて展示されているため裏面は見ることができない。

 

 

仏像の印象

像高は約2メートル半、中央に如来像をひときわ大きく刻み出し、左右に菩薩を従える。

舟形光背の上部と台座は失われている。光背が本来高さのままに伝わっていたとしたら、台座まで含めると4メートル以上、5メートル近くあったのではないかと推定されるが、あまりに大きいので切って運んだという。

本来あるべき場所から引きはがされ、台座や光背の一部まで失って展示されている仏像は痛々しくもあるが、一方目をみはるほどの名品であることも確かである。

 

中尊は大きな肉髻、面長な顔で、目は切れ長、鼻筋はよく通る。肩はなで肩で薄手の衣が浅く細かく線を描いて流れる。右手はてのひらをこちらに向ける施無畏(せむい)印で、大きくつくられ、左手は衣の端を持ち、やや小さくあらわされる。下着の紐であろうか、胸元から帯が正面に長く垂れる。その線や折り返し重なり合う衣の鋭角の線の繰り返しが強いアクセントになっていて、さらに衣全体が風にたなびいているようでもある。仏が出現するとともに風が起こり、空気が一変した様子なのであろうか。

 

脇侍は中尊に比べて顔が小さく体はすらりとしている。腹前でX字に交差した天衣の鋭角や繰り返される衣の襞(ひだ)はやはり強い印象を与える。

 

 

その他

この仏像には、村の国民学校の修理費に充てるため売却するという中国・河南省の国民学校校長の書き付けが付属しているという。

 

 

さらに知りたい時は…

『大原美術館の120選』、大原美術館、1994年

『図録 大原美術館』、大原美術館、平凡社、1981年

『解説版 新指定重要文化財3 彫刻』、毎日新聞社、1981年

『東洋美術3 彫塑』、朝日新聞社、1968年

『倉敷考古館研究集報』5、倉敷考古館、1968年

 

 

仏像探訪記/岡山県