良福寺の文殊菩薩像

  地域で守られる文殊さま

住所

大和郡山市西町319

 

 

訪問日 

2015年3月15日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

大和郡山市・史跡・文化財

 

 

 

拝観までの道

大和郡山市の西南、安堵町との境に近い西町にある蛭子(えびす)神社の境内の一堂、それが良福寺である。文殊堂とも呼ばれる。

拝観は西町の自治会長さんに連絡し、調整していただく。農繁期はむずかしい。問い合わせ先は大和郡山市教育委員会の文化財係。

 

交通は、近鉄線の平端駅が最寄り駅で、ほぼ真西に徒歩約20分。

バスは平端駅とJR法隆寺駅を結ぶ安堵町コミュティバス中通りルートで「西町」バス停下車、北へすぐ。

 

安堵町コミュニティバスの運行について

 

JRの法隆寺駅からは東に3キロくらい。平坦な地形なので、法隆寺駅南口にあるレンタサイクルを利用すると快適である。

 

 

拝観料

300円

 

 

お寺や仏像のいわれなど

お堂の管理は西町で行っており、毎年4軒の当家(とうや)さんが選ばれて、その方を中心に堂守りや行事の運営をされているということだ。

年間数回の法要が営まれており、中でも2月25日の文殊会は大きなお祭りとのこと。

 

このお寺の本尊の文殊菩薩像は、以前は広く知られていなかったが、1990年に奈良市の元興寺文化財研究所展示室で行われた「西大寺とその末寺」という展覧会(叡尊の700年忌にちなんだ特別展)に出陳され、注目を集めた。

 

 

拝観の環境

像はお堂の置くの厨子中に安置され、すぐ前で拝観させていただけた。厨子中のため、正面からのみの拝観。

 

 

仏像の印象

獅子に乗る文殊菩薩像。鎌倉時代の作。比較的小さな像で、像高は40センチ弱、寄木造、玉眼。

 

獅子の背の蓮華の上に乗る像で、足は桜井市・文殊院の像(快慶作)のように片足を踏み下げることはせず、左足を前に外して座る(安座)。

上半身は通常の菩薩像と同じく天衣、条帛を着け、その点も文殊院の像とは異なっている。

手には剣と蓮の茎を持つが、これら持物は後補。またまげは低めにややぎこちなくつけられているがこれも後補である。ほかに指などに後補部分がある。

 

端正な雰囲気の像だが、おっとりした印象もある。とんがったところがないとでも言おうか。造形を極めるといった迫力がなく、落ち着いた美がある。

丸顔で鼻筋が通り、目は下瞼がややカーブしてアクセントとなっている。眉の弧や小ぶりな唇は好ましい。上半身は高めで、胴は絞り、腕はあまり張らずに自然な構え。脚部の左右への張りや衣のひだの彫りも控えめで、上品である。

とにかく見飽きるということがない、美しい像である。

鎌倉時代前期から中期にかけて活躍した善円(善慶)の作品との類似を指摘する向きがあるが、この像のゆったり感のある味わいはまたちょっと違うようにも思える。

彩色の上に切り金を用いていた痕跡を残す。

 

獅子の表情がまたいい。誇張せず、若干諧謔味を帯びる。

この獅子の中に多くの印仏が入っていたそうだ。長方形の紙に文殊菩薩像の印を押し、その下に短い願文と名前を記したもので、綴じられて納入されていた。全部で700枚近くとなり、多くの人々が結縁して篤い信仰のもとでつくられた像であったことが知られる。

 

 

その他(額安寺について)

このお寺から南東に徒歩10分くらいのところに額安寺がある。

本堂の拝観料100円。事前連絡が望ましい。

本尊は彩色のよく残る十一面観音立像で、室町時代の作。

 

* 額安寺ホームページ

 

なお、額安寺が所蔵していた奈良時代の乾漆造の名品、虚空蔵菩薩像は2014年より奈良国立博物館寄託、2015年に購入によって文化庁の所蔵となった。奈良国立博物館なら仏像館で展示されことがある。

 

 

さらに知りたい時は…

『忍性』(展覧会図録)、奈良国立博物館、2016年

「大和郡山・良福寺文殊菩薩騎獅像と像内納入の文殊菩薩印仏について」(『 仏教芸術』199)、鈴木喜博、1991年11月

 

 

仏像探訪記/奈良県