大龍寺の菩薩立像

  如意輪観音として伝えられた像

住所
神戸市中央区再度山


訪問日 
2015年4月26日


この仏像の姿は(外部リンク)
大龍寺・ご案内



拝観までの道
六甲山中にある山岳寺院である。
行き方は、三宮バスターミナル4番乗り場より神戸市バス25系統森林植物園前行きに乗車し、「大竜寺」下車。バス乗車時間は25分ほど。
バス停のすぐ前に大龍寺の山門がある。本堂へはそこから階段をかなり上らなくてはならない。

ただしこのバスだが、4月1日から12月1日の間の土日祝日のみの運行である。
徒歩の場合、県庁前から諏訪山公園、ビーナスブリッジを経て、大師道(再度谷)を行く1時間半くらいの道のりで、途中茶店もあり、人気のハイキングコースだとのこと。

本尊、伝如意輪観音像(菩薩立像)は本堂奥に接続する収蔵庫中に安置されている。普段は扉が閉まり、毎月21日のご縁日のみ本堂開扉となる。
それ以外は事前連絡で開扉いただける。


拝観料
300円


お寺や仏像のいわれなど
真言宗寺院。
バス停は「だいりゅうじ」のようだが、お寺の読み方としては「たいりゅうじ」である。

和気清麻呂が道鏡の刺客につけねらわれていたのを如意輪観音の霊験によって救われたことから、この地に伽藍をつくり、観音をまつったという。
再度山(ふたたびさん)ともいうが、これは空海が入唐前にこの地を訪れ、無事帰国できた時に再度訪れて修法を行ったことから名付けられたという。


拝観の環境
近くよりよく拝観させていただけた。


仏像の印象
本尊の菩薩立像は、寺伝では如意輪観音像とされる。

像高は約180センチ。頭頂から蓮華座まで、また天衣垂下部までを一材から刻み出す。樹種はヒノキという。保存状態は全体的に良いが、両手先は後補。
部分的に乾漆を併用する。上半身の柔らかな印象は、乾漆によるものである。

180センチという等身大の像であるが、それ以上の大きさがあるように感じられる。顔立ちは、目と眉、鼻と唇の間を短くし、頬を大きく、顎をしっかりとつくっている。どことなく大陸的とでも言おうか、顔立ちなど茫洋とした中に明るい感じが見えて、型にはまらないスケール感がある。
一方下半身の衣はにぎやかで、両足は弧を連ね、その間の裙はゆるゆると打ち合わせる。裙の折り返し部の風にひらひらとゆらめくさまは、布の質感をよくあらわす。衣の弧の連なる様子や足首を出すさまは、薬師寺東院堂の聖観音像のそれを思わせる。

体の厚みはそれほどでもないが、肩幅を広く取り、上半身は思いきってゆったりと大きくとる。胴はくびれて、その下のおなかは丸い。アクセサリーを刻み出すのも古様である。
体はほぼ直立し、若干ぎこちない立ち姿のようにも見える。

この仏像の制作年代はいつだろうか。
乾漆を併用した一木造の仏像は多く奈良時代末から平安時代初期につくられているので、その頃につくられたものかと思われる。しかし、下肢の衣のひだの様子や顔つきのおおらかさから、奈良時代前期にまでさかのぼる像なのではないかという意見もある。


さらに知りたい時は…

『日本美術全集』3、小学館、2013年

『日本美術全集』2、小学館、2012年
「兵庫大竜寺菩薩形立像(伝如意輪観音)について」(『国華』1145)、安藤佳香、1991年4月
『日本美術全集4 東大寺と平城京』、講談社、1990年
『兵庫の名宝』(展覧会図録)、兵庫県立歴史博物館、1988年
『日本古寺美術全集19 山陰・山陽の古寺』、集英社、1982年


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