西導寺と能化院の仏像

能化院は2月3日に開扉

西導寺
西導寺

住所

宇治市五ヶ庄大林19(西導寺)

宇治市木幡中村13(能化院)

 

 

訪問日 

2018年2月3日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

京都新聞・ふるさと昔語り(能化院)

 

 

 

西導寺について

西導寺はJR奈良線、京阪線の黄檗駅下車、北西に約10分。

浄土宗寺院。15世紀に前身となるお堂がつくられ、17世紀初頭に寺となり、江戸中期に今の場所に移ってきたという。

拝観は事前連絡必要。志納。

 

今は廃絶した他寺から移されてきたという古仏が、本堂の右手の建物に接続する収蔵庫に安置されている。向かって左から観音菩薩像(秘仏、厨子中に安置)、毘沙門天像、阿弥陀如来像、薬師如来像、右奥に天部像2躰。

拝観は収蔵庫の扉口からとなる。

 

 

西導寺収蔵庫の仏像

毘沙門天像は、ヒノキの寄木造、彫眼。像高は約160センチをはかるが、すらりとスタイルよく、数字よりも長身のように感じられる。

左手をあげて戟をとり、右手は腰に。目は丸まると開き、口を閉ざし、まゆをひそめて怒りをあらわすが、その忿怒の表現は控えめで、平安時代後期・末期に好まれた天部像の姿である。

右膝をやや曲げるがこれも控えめであり、全体的な立ち姿としてはむしろ直立に近い。

防具と衣の重なり具合や鎧の細工はとてもていねいにつくられている。腹のあたりを巻く布は幅広にあらわされている。

 

薬師如来像は像高約80センチの坐像。ヒノキの寄木造で彫眼。

一見して定朝様の仏像で、ゆったりと落ち着いてすわり、衣のひだは流れるようである。

 

右奥に安置される2躰の天部像(毘沙門天像)はやや小さめの立像で、こちらも魅力的な古仏と思うが、拝観位置からは見えにくいのが残念。

西導寺毘沙門天像
西導寺毘沙門天像

 

能化院について

能化院(のうけいん)は、西導寺から北へ徒歩約15分。JR奈良線の木幡駅、京阪線の木幡駅から近い(南へ徒歩5分)。

創建は平安初期、その後藤原道長や源頼朝によって再興されたと伝えられる古寺であるが、現在は小さな寺院となっている。

収蔵庫に平安時代後・末期ごろの地蔵菩薩像が安置される。火災から飛び去って焼けることはなかったことから「焼けずの地蔵」と称され、火災厄除けの信仰が厚いという。

2月3日の日には節分会法要が行われ、収蔵庫が開扉される。法要は14時から16時だが、私は12時ごろに着いたところ、すでに扉が開かれていて、拝観させていただくことができた。

 

 

能化院の地蔵菩薩像

像高約140センチの坐像。ヒノキの割矧ぎ造という。頭部を大きく、脚部は小さめである。

おなかに裙の結びヒモを見せる。

脚部を覆う衣のひだは、中心から膝の方へとさざ波が広がっていくように美しく整えられており、一本一本の線は意外に深くしっかりと刻まれる。

穏やかな眉、細くつくられた目、小さめな口・鼻はいかにも平安時代後期の貴族が好んだであろう優美な雰囲気を出している。まぶたはやや腫れぼったい感じで強調されている。

能化院
能化院

 

その他(正覚院の毘沙門天像)

木幡駅からひとつ北の六地蔵駅の近くに、正覚院というお寺がある(JR、地下鉄、京阪線の六地蔵駅からいずれも徒歩約5分)。

浄土真宗寺院で、近くにあった前身の寺院が応仁の乱で焼け、安土桃山時代に現在地に再建されたという。

 

門に向かって右手にある観音堂の本尊の聖観音像は平安時代後期の作で、像高約100センチの立像。一木造。いかにも穏やかなお姿で、左手に蓮華を持ち、右手を近づける様子は延暦寺の横川中堂本尊の姿と同じである(ただし肘から先は後補)。かつては伏見の三十三観音霊場の結願の観音さまとして大いに信仰を集めたのだそうだ。

 

聖観音像の向かって右側に毘沙門天像が安置されている。

像高は約125センチ、寄木造、玉眼。堂々とした武装神像で、実際よりも大きく見える像であるように感じる。鎌倉時代後期ごろの作。

兜を着ける。左手、右手とも大きく振りかぶるようなことはせず、左手は宝塔を、右手では宝棒をとる。

顔は小さく、すぐれたプロポーションである。左足に重心をかけ、右足を一歩斜めに出す。

そしてこの像は、みごとな彩色が残る。像がつくられた当初のものであり、その上に近世の彩色がのせられていたのを、修理時に除去したとのこと。後補の彩色によって当初の色が守られたわけだ。

足ほぞからは「法印朝円作」の銘が発見されており、円派仏師の作であるとわかる。また、本像は水戸市の善重寺に伝来する聖徳太子像との作風の近似が指摘されている。

 

お堂を開扉いただいて拝観させていただくには事前連絡が必要。

 

 

さらに知りたい時は…

『許波多 歴史と文化』、宇治市歴史資料館、1999年

『宇治の佛たち』、宇治市歴史資料館、宇治市教育委員会、1989年

 

 

仏像探訪記/京都府

正覚院
正覚院