神童寺の不動明王像

  円珍感得像をもとにしたお不動さま

住所

木津川市山城町神童子不晴谷112



訪問日 

2015年3月30日




拝観までの道

神童寺(じんどうじ)は木津川市山城町神童子というところにある。

最寄り駅はJR奈良線の棚倉駅。駅から茶畑の中のアップダウンのある道を東南へ40分くらい歩く。

バス利用ならば、木津駅から棚倉駅を経由する渋川行きの木津川市コミュニティバス山城線に乗り、「やすらぎ苑」で神童子線という路線に乗り換える。ただし平日のみの運行。また、コミュニティバス神童子線は市内の東洋タクシーという会社に市が委託して運行しているもので、オンデマンドすなわち事前連絡が必要な路線。乗りたい便の2時間前までにタクシー会社に連絡をする。面倒ではあるが、これを使えば木津駅から途中乗り換えて、終点の「神童子公民館」まで200円で行くことができる。

下車後前方(東側)に50メートルくらい進むと右手が神童寺の入口である。


木津川市観光協会・神童寺



拝観料

500円



お寺や仏像のいわれなど

真言宗の寺院。

「北吉野山」と号する。奈良の吉野山に対して、北吉野と称するのは、修験道の中心地であったことを示すものであろう。

本堂は室町時代の再建。その中央には、蔵王権現の大きく勇壮な像が安置されている。


収蔵庫には、近くの廃絶した寺院から移されてきた仏像も含んで、さまざまな仏像が安置される。



拝観の環境

収蔵庫は最近改築されたとのことで、照明も調節され、大変よく拝観できる。


仏像の印象

収蔵庫には正面の壇上に4躰、右側の壇に6躰と役行者と2鬼像が安置されている。

正面の壇の4躰は、向かって左から不動明王、阿弥陀如来、毘沙門天、愛染明王の各像である。いずれも平安時代後、末期の作と思われる。

 

この中で最も魅力的なのが不動明王像である。

像高は約160センチ、寄木造。

目鼻口を顔の中央に集め、こめかみに力をこめる顔つきには引きつけられる。

 

一般的な不動明王像の姿とは異なり、弁髪、条帛はなく、乳首やへそをつくり、下半身の裳は襞をしっかり刻む。足は膝から下を見せ、腕は力をこめている様子をあらわす。体は白色の彩色が残る。

この特異な像容は、三井寺の円珍感得の黄不動画像を彫刻にうつしたものと思われる。類例がないわけではないが、珍しい。

 

簡素な木製の光背を負うが、その裏面には戯画(巴文や神将像)があるのだそうだ。

 

 

その他の仏像

阿弥陀如来像は半丈六の坐像。来迎印を結ぶ。定朝様の落ち着いた作で、台座も当初のものである。

毘沙門天像は像高120センチあまりの比較的小振りな像。大きなポーズをとらず、静かにこの世界を見守っているようである。

愛染明王像は像高60センチほどの坐像で、諧謔味のある表情が魅力的である。6本の細身の腕を曲げ伸ばししてポーズをつくるが、矢を天に向けて放つしぐさが珍しい。「天弓愛染」と呼ばれ、他には山梨・放光寺や高野山金剛峰寺に同じ姿の愛染明王像がある。

 

手前右側の壇の仏像では、日光、月光菩薩が大きく、像高は日光菩薩像が160センチあまり、月光菩薩が170センチあまりの立像である。

かつて近くに薬師寺というお寺があり、1883年にこの寺に併合された際に移されたと伝える。

右に立つ日光菩薩像は一木造、月光菩薩像は寄木造と構造が違い、雰囲気もまったく異なるために、当初からの一具ではないとわかる。ことに古い日光菩薩像は魅力的で、材の制約からか細身で薄く、全体に縮こまったような印象があるが、しっかりと結われた頭頂、連なる眉、力強い顎、長い手など、とても面白い。

前の列に立つ伝聖観音像も渦巻きの文が刻まれ、古様な一木彫であり、引きつけられる。

 

 

さらに知りたい時は…

『南山城の古寺巡礼』(展覧会図録)、京都国立博物館ほか、2014年

『京都南山城の仏たち 古寺巡礼』、京都南山城古寺の会、2014年

『ふるさとの仏像をみる』、内田和浩、世界文化社、2007年

『平等院と南山城の古寺』(『日本古寺美術全集』15)、集英社、1980年

 

 

仏像探訪記/京都府