常念寺の菩薩立像

  薬師菩薩と称された神仏習合の仏像

住所

精華町祝園小字神木段55

 

 

訪問日 

2014年10月5日

 

 

この仏像の姿は(外部リンク)

精華町ホームページ・常念寺

 

 

 

拝観までの道

常念寺のある精華(せいか)町は京都府の一番南にある自治体のひとつである。

下車駅は近鉄線の新祝園(しんほうその)かJR線の祝園駅(両駅は隣接している)。

新祝園駅前の小さなロータリーよりまっすぐ東へ5分くらい行くと突き当たるので左(北側)へ。200メートルくらい行ったら右折し、また200メートルくらい先を右折。

お寺の入口は東側にある。駅から10分くらい。

 

拝観は、事前連絡がのぞましい。

 

 

拝観料

志納

 

 

お寺や仏像のいわれなど

もと天台宗といい、創建年代は不明。室町時代に再興、現在は融通念仏宗。

門を入って右手の薬師堂にまつられている菩薩形立像は平安時代前期の作。

菩薩形だが、お堂が薬師堂と名付けられているのは、この像がかつては薬師菩薩と呼ばれていたからである。もとは近くの祝園神社内にあった薬師寺(神宮寺)の本尊、すなわち神仏習合の仏像であったという。

堂内には近世期のものながら薬師仏の眷属である十二神将像が安置される。また、今は何も持っていない左手は20世紀なかばの修理時のもので、江戸期に補われた左手は薬壷を持っていたという。

 

祝園神社は平安時代初期以来の古社で、9世紀なかばに従五位上の位を受けたことが記録に見える。

位を授かるというのは大きな出来事と思われ、それを契機として神威のいっそうの高揚をはかってお堂や像を造立するということもあるらしい。本像造立の年代として、この9世紀なかばの頃と推測してみることも可能かもしれない。

 

 

拝観の環境

堂内、近くより拝観させていただける。

 

 

仏像の印象

像高は約170センチ、ケヤキと思われる樹種による一木造で、手首まで共木から彫り出されている。手先、足先、天衣の垂下部は後補。

現状素地をあらわし檀像風だが、もとは漆箔像であったらしい。

 

美しく、力強い像である。

シンプルできれいな冠をつける。頭部は小さめ。花の模様が美しい天冠台、髪の束はそれほど強調されないが、美しく整う。眉もそれほどは強調されていないが、鼻の上部から強く立ち上がっていて、印象的な形象である。

目は小さめ。左右で大きさがやや異なる(左目の方が若干大きいように思う)。

鼻も小さめだが、小鼻を陰刻によってくっきりとさせている。上唇は大きく突き出し、また顎は力強く刻む。

 

怒り肩。条帛や天衣は襞を多くつくる。衣はその端を細かく折るなど、芸が細かい。

天衣は下肢でW字にからむ。その上の衣の襞は大変シンプルに、しかしその下は強く襞を刻んでいる。

胸や腰は量感豊かである。ほおのふくらみはそれほどでないと見えたが、下から見上げると、非常に豊かなふくらみが感じられる。

 

正面からと斜めからでは印象が異なっている。斜めからはきりりとして若々しく、正面斜め下から見ると福々しく、神々しさを感じる。

 

 

さらに知りたい時は…

『神像の美(別冊太陽)』、平凡社、2004年

『せいか歴史物語』、精華町、1997年

『精華町史 本文篇』、精華町史編纂委員会、1996年

『精華町の寺社と美術(改訂版、第4版)』、精華町史編さん委員会、1995年

 

 

仏像探訪記/京都府